How to lesson & rec singing
〜お歌〜

ここで書いているものは 菅井えり 独自のものだという事をご了承下さい。
自分のレッスンの仕方や、教えた時の事
関わっている歌手へのCD録音時の実践アプローチを書こうかなと
こちらではボーカルレッスンの受け付けはやっておりません。
事務所にお尋ね下さい。

1)「何のためのレッスンをしたいのか」
2) 「歌のうまい人が 教え上手なわけではない」
3)「自分の魅力的な音域はどこかしら?」
4)発声練習
5)聴くレッスン
6)レコーディングにあたって
7)休憩をする事も

まず 最初に・・
歌のレッスンにはグループレッスンもあれば個人レッスンもあります。
私が10代に受けたレッスンは、クラッシックの個人レッスンを数名の先生に そしてポップスのレッスンも数名の先生。そして20代になってからレコーディングをする時にもボイスティーチャーみたいな人がついた事もあります。

クラッシックとポップスでは発声方法も違いますし、歌の仕上げ方については先生によって歌の解釈が違ったりするので、 「以前に受けたレッスンと全然違う事を言われる」と思う事もあります。
多忙の譜面に弱いアイドル等のレコーディングにおいては、先に入れた仮ボーカルを覚えてレコーディングに入る事があるので、その仮ボーカルの人の癖までそっくりに歌ってしまう事も多々あります。
また、レッスンではありませんが、レコーディングにおいて、ディレクションをする人の耳やつたえ方、歌の趣味によって、歌い手の魅力がより引き出される事もあれば、全く消されてしまう事もあります。

時折デビュー前の歌手や、歌った事がない人がCDを出す時に数カ月レッスンをしたりする事があります。
また、録音の時にボーカルのディレクションをする事があります。
ここではそれらについて書いてみたいと思います。

その時に まず私が最初に必ず聞くのは「何のためのレッスンをしたいのか」
という事です。
「CDデビューを控えていて、声の出し方がよくわからない」
「どこが悪いのか客観的に観て欲しい」
「与えられた楽曲、歌を自分のものにしたい」
「もっと音域を広げたい」
「発声練習の仕方を学んだ事がない」
など色々あります。

また、漠然と「歌が上手になりたいから」という人もいるでしょう
「歌手になりたいから」という人も いるでしょう
「歌う事が好きだから」という人も、「習った事がないから」という人も
漠然とした理由だけでも きっと沢山あると思うんです。
ここでの欄ではそれを対象にはしていませんが、少し触れたいと思います。

習い始めの頃は、何もわかりませんし
分からなくて当然だと思います。
習っているうちに、「こういう事をしたかったんだけどな」という事が出てくる事もあるでしょう 。
それでいいと私は思っています。
ただ、そうするとどんな所で習えばいいんだろう。
って思いますよね。
ここまで書いておきながらですが、
「何をどうしたいか分からないのだけれど、歌を習ってみたい」という人は、
自分の性格で決めてゆかれるといいのかな。としかまだ答えがなくてm(__)m
じっくり先生とお話する事で決めてゆくタイプ
とりあえず習ってみるのだ。と試してみるタイプ
試行錯誤の中で、やっていかれる事かと思います。
それをうまく受け止めて下さる先生に、早く出会えるように。と思います。

私事ですがバイオリンのお稽古を40になってから始めた時に
先生が私に尋ねられた事は
「楽曲を沢山やってゆきたいですか?それとも基礎からやりたいですか?」
でした。
この質問もまた とても基本的でかつ大切な事だと思います。

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2) 「歌のうまい人が 教え上手なわけではない」  

また、いつも話す事は
「歌のうまい人が 教え上手なわけではない」
という事
そして「楽曲の歌い方は先生の趣味によって変わる事もあれば、その人の癖を無くそうとする先生、それを良い方に伸ばそうとする先生 色々いる」
という事
実際の私が受けたレッスン経験から学んだ事もあれば
私はそんなに沢山の人を教えた経験はありませんが、長年歌を録音する場所などに携わっていると、
「んーー そうかなあ?」と思った事など

「歌手として売れている人が、教え上手なわけでもない」
これは、成人した人なら学校の先生を思い浮かべて頂ければ分かりますよね。
成績の良かった先生が、「何故こんな事もわからないのか」と後は省略して生徒がついて行けないようでは困ります。
また、生徒の力量により じっくり教える所は教える、省けると判断したらもう一段先に進める、家庭教師の先生もいるでしょうね。
ですから、どの生徒さんにどの先生があうかどうか というのは、また違った判断にゆだねる事になるでしょう。

また「癖」を悪いとするケースも 良いとするケースもあるでしょう。
私は癖を持った人に出会った場合は、良い癖になるならば、そのまま残す方向にする事が多いです。(あくまで良い癖の場合)
「もの真似をされるぐらい癖があると印象がつく」という事もありますし、その人の個性にも繋がるからです。
ただただ綺麗に歌って癖のない歌手を作り上げるのはあまり私の好む所ではありません。
ハーモニーグループなどで 相手とそろえる事を覚えなければならないケースなどは別 物です。
CDデビューを控えている人の場合はレコードを作る人達との相談にもなります。
その歌手の人生の1つを背負う事にもなりますもんね。

また 私はレッスンをしていく中で、目的に応じて、「私よりもこの先生がいいでしょう」とおっしゃってくれる先生にも出会いました。
これは、お医者様を例に考えると分かりやすいかと思います。
ただただ患者さんを手元に置くだけではなく、自分の力量では無理、また違う治療が必要と思えば他を考える事を勧める。
治った。自分の中では卒業と判断すれば、いつまでも次の予約や薬を処方するのではなく 終わりを告げる。
歌の場合は 「治る」という事は特にありませんが、次の段階に勧めたりする事も大事じゃないかな。

ただ 何にしても、レッスンをするわけですから、
生徒の歌っている音程の 善し悪しは分かる人でないと困りますけれどね^^;

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3)「自分の魅力的な音域はどこかしら?」

さて 本題に(∧_∧)
私がレッスンを頼まれる場合は目的がある短期間のケースですので、
「何をどうさせたいか」という事をレッスンを頼んだ本人 もしくは頼まれたオフィス(メーカーやマネージメントなど)から聞いて、それでプログラムをたてて行きますが、
まずどんなケースでも最初にする事は
発声練習と、自分の好きな楽曲のカラオケなどで、その人の出る音域を調べます。
これがグループレッスンとの違いの1つかな。
グループレッスンだと、どうしても全員で発声練習をするので、自分の音域を広げるというよりは声を出すという事が中心となるかと思うんです。
声を出すという事も凄く大事な事ですし、自分の音域を広げるのも折角レッスンを受けるのですから、覚えたいものです。

音域を広げるにも 大きく2つあると思います。
1)出ない音を出せるようになる
2)出る音のよく響くポイントをより幅広くする

この違い。1)は分かりやすいでしょう。
この1)の中にも地声でどのくらいでるだろうか、裏声だとどのくらいだろうか。という広げ方もありますね。

2)は、 自分はこれだけの音域が出る。と思っていても、実際に響きのよい音域というものは、思ったよりも狭いものなんです。
本当にオクターブあれば良い方 という人も大勢といってもいいかもしれないと思うくらいに。
だからといって悲観する事はありません。
これは「習う」「教える」という事を基礎に置いての事なのですから(∧_∧)
ただ、その音域をその歌手や楽曲を発注する人達が知っておくほど 強いものはありません。
魅力的な声が聞ける曲を作る事が出来るのですから^^

男女の違いもあれば、その人それぞれによって高い声よく出る人、低い声がよく出る人。
ただやみくもに高い声を出せるからといって、その人の高い声が魅力的なのかどうか。という事もあるでしょう。
私のように1人多重で低い所から高い所まで歌うとしても、メロディで聞かせたい所は、本来は一番綺麗に響くポイントを使いたい所です。(楽曲のアレンジによりその設定が難しい事がありますが)
ソロのアーティストとなると 余計そうですよね。
ポップスを歌う女性の場合 だいたいの出るポイントは似ているのですが、特に高音の裏声との変わり目が、1度、2度違う。っていうだけで、かなり歌の雰囲気が変わってきます。
もちろん その歌手の音域にあったメロディを与え、アレンジのキー設定をする事が大前提なのですが、
折角習うのならば、もっと音域を広げ、新たな曲にもチャレンジしてゆきたいものです。

一時期「高い声の歌が流行っているからキーは高めに」と言われる事が流行っていましたが、
不安定な下手な高い声が「商品」としてウけても、ピッチを機械的に修正出来るレコーディングはいいとしても、ライブは辛いですよね。
その無理矢理な声を後になって自分で聞くのも辛いでしょう・・・
そういう発注の時は、それなりにうまく「商品」になるように仕上げる事もあるでしょうが、
ここでは 省きます。

魅力的な声のポイントを探すのは、簡単な人もいれば、やって行くなかで声が出てきてやっと分かる人もいます。
また「あ〜え〜い〜お〜う〜」と発音した中でもどの子音や母音が響かない、どれが響くと言う事を探る事もあります。
また単純に音域でも、歌った事のある人なら分かると思うのですが「日本語だとこの音は出ないけど英語だと出るんですよね」という人もありませんか?
基礎の発声練習だと出ないけれど、楽曲で流れで歌うと出るとか
色々出てくる事が 歌っているうちに分かってきます。

自分の魅力的な音域はどこなのかしら?
これを知る事は 自分の強みを見つける第一歩かもしれませんね(∧_∧)

 

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4)発声練習


個人レッスンを受け持ったり、自分の発声練習用のテープを作る時には、
限界音よりも1つ高い、1つ低いものをピークに持ってゆくレッスンも中に組み込みます。
また  魅力的と感じる音域とその2つぐらい高い、低い所ばかりを繰返し発声する練習
低い音から 急に高い所に飛んだ時にうまく声が切り変えられる練習。
色んなパターンを織り込んで 今ならCDにして
『毎日練習してね^^』と渡します。

発声練習って レッスンの日だけじゃなくて、毎日繰り返す事が喉も作ってゆくので大事なんですが、
音階だけの発声練習って 退屈に思えますよね。
日常の仕事や色々な事に追われると、なかなか本格的には出来ない。
だけどやり方を覚えると ピアノや教則用のCDの前に立たなくても 家や車や雑踏で誰にも聞こえないような所で ちょこっとでも出来ちゃう部分 もあるんです。
最初は退屈でも、どんな所が自分が弱いかなって思えるようになったり
声出しておこう〜とか思えるようになるといいですよね^^
自宅ではなかなか大きい声を出せない。
小さい声での練習も中に取り込んでいます。
大きな声を出すだけが発声練習ではないと私は思っています。

発声練習でも録音をする事があります。
そこでカツゼツのいい場所悪い場所、癖などが分かる事も多いんです。

クラッシックの方々はどんな楽器でも毎日練習されていますが
ポップスってなかなかそういう感じにはならない。
デビューすると地方にキャンペーンに出かけたり、 ライブがあったり。
まだ上記のものがある人達は幸いですが、 レコーディング以外で歌った事がない。っていう人も沢山いるのも事実。
そうすると 余計に歌の練習したって・・・って思ったりもします。
悲しい現実ですよね。
関わる歌手の人には、いつまでも歌を歌う人間なんだって事を感じていられる ように願うばかりです。

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5)聴くレッスン

私が行うレッスンの中で大事な事の1つは 「聴く耳を持つ」という事です。
自分の声がどのように響いているか 客観的に聴く事が出来ると よかった所、悪かった所がわかるようになります。
それには 録音をして聴いてみる。 という事をしています。

ライブ等のテープを聴いた事があっても、 そのままOKとやり過ごしている事もあれば、 感情が高ぶっているその場では「これちょっと変かもしれない?」「ううんOK !いい感じじゃない?」っていう事もあるでしょう。
自分で分かっているつもりでも、以外と「あれ?こここんなに歌っていたっ け?」 という所もあったりします。
「あら私って、こんなにカツゼツ悪かったっけ?歌詞が聞こえないわね」 とか・・・色々

練習の時には 気をつけて歌ってみる事も心がけますが、 あまりに客観的に「あ、間違えた、 あ!しまった」 と分かる人には、その逆方法 「気にするのは後でいいから、とにかく思った通 り思いっきり歌ってみて。 今は練習なんだから^^」 と。

性格やその人の能力や発達度によって様々
スタジオのお仕事をしていると、自分で判断しながら、進めて行ける事がプラ スにもなりますが
ソロの人には「思いっきりさ」というのは必要ですよね。

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6)レコーディングにあたって

楽曲を歌ったり、その曲のレコーディングをする時ボーカルディレクションを する事があります。
ボーカルディレクションにもタイプは色々。
大抵の場合、そのディレクションをする人の好きなものがチョイスされたり、 好きな歌い方を求められたりもします。
また音程ばかりを気にして、今ではPC録音でピッチを揃える事が出来るので、 その機能を多様してしまう場合もあるようですが、 よほど音程が悪くない限り(そんな人歌手になるなって話もありますが^^ ;)その機能は、他の小さな良いニュアンスまで消してしまうので、使いたく ないものです。
出来るならば、自分の思う歌い方がそのままCDに乗りたいですよね^^ 自分で納得したいものです。

歌う人のタイプは様々ありますが、レコーディングで大事なのは、 「どのくらい声が持つタイプなのか」という事です。
1,2回歌うと声が終わってしまう人もいれば、いつまでも歌える人もいる。
休憩を挟むとまた歌える人もいます。
それを自分で分かっていたり、ディレクションをする人が分かっていると、スケジュールもたてやすいですよね。

女性の場合は生理の周期で調子が出ない時もありますから、 時間に余裕のあるレコーディングの時には、それも考慮するのがいいでしょ う。 喉の粘膜だけでなく、身体全体の事ですし、耳も衰えるとヘッドフォンに返っ てくるオケや声がわかりづらくなる人もいます。

曲によっては何度も歌えるものもあれば、「サビは高い音域で続けてなかなか 歌えない」って言うケースもありますから、 1曲通して歌いたいか、部分的に歌いたいか。っていう相談もします。
音程ばかりにこだわって、萎縮してしまうと、いい歌が歌えないです。
そうなると以外と最初のテイクがいいケースも。。
ただ、歌っているうちに声が出てきたり、声が終わってきたりして、前後のつ じつまがあわなくなったりする事も。。

ボーカルブースの中に入っていると、ディレクションをする人達がいる部屋の 会話が聞こえません。
少しの間(ま)が、不安にさせる事もあるんですよね。
「よくないのかな・・・だめなのかな・・」ってなる前に「機材の具合で ちょっと待ってね」って伝えたり。
また、同じ場所を何度も何度もやり直しを言われると 「何が悪いんだろう?」って思う事もあります。
「ここがね いつもよくないの。聴いてみてくれる?」 ちょっと声をかける事で緩和するものならば、 本番のレコーディングの時にはなるべく不安材料を取り除いてあげたいもので す。

この「ここがいつもよくない」って場所ってあるんですよね。
他の所はいつもスムーズにいくのに、どうしてもこの場所だけが・・・って
本番にのぞむ前に練習録音が出来るならば、何テイクが録音してもらって、 やはり自分で聴いてチェックしてみるのもいいかもしれません。
とはいえ、なかなかそういう時間が取れないのが、現実なのですが。

マイクの使い方も慣れてくれば、近く、遠くと色々出来るのですが、 ここでは長年のプロの人を対象として書いていないので、 「うまく逃げる方法」 は、やめておきます(笑)
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7)休憩をする事も

地声をずっと使う発声練習やレコーディングって結構喉が疲れます。
休憩って結構大事。
練習の時にも、休憩を何度か取ります。
中には1時間、2時間とか休憩をしてからまた歌うとさっき出来なかった所が すっと出たりという事も人によってあるんですが、
なかなか そんなに時間は取れないですし、レッスンだったら受けている方も時間がもったいないって思いますもんね。
休憩中に、そのアーティストの事、歌いたい歌や、どんな事を悩んでいるか など話したり、
録音したものを聞き直したり。

また御飯を挟む時があると思うんですが、御飯を食べると声が変わる事がよくあるので、それも考えながら録音して行くのも大事な事です。

これでこのコーナーは一応おしまい。
細かい事は、書くとキリがなくなってしまうので 何かきづいたりしたら付け足します。
とにかく本番になったら、堂々と自分を出し切る。
それが出来るためにも、自分の歌に自信が持てるように頑張りたいものです。
自分への戒めでもあります\(__;)


またディレクションに際しても、皆、試行錯誤です。
本当は何が正解か、売れれば正解。といってしまえばそれまでですが、
歌い手本人が納得して成長も出来る方法を一緒に学んでいる気がします。

関わった人達が、その時は分からなくてもふとした瞬間に
「あ、これかあ 言ってた事って」って分かるように成長してくれると
とっても嬉しいです。
私も覚える事がまだまだあります。
覚えた事を消化出来るように、沢山の引き出しが出来るように 
心の間取りを広げたいと思います。