007シリーズ


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イアン・フレミングにより、ジェームズ・ボンド(007)が初めて登場したのが1953年のカジノロワイヤル(Casino Royale)。同小説は、ボンドと、ソビエト連邦政府の暗殺など実行する防諜工作機関スメルシュとル・シッフルとの戦い。それまでも、英国では、サマセット・モーム、ジョン・バカン(いずれもヒッチコックが映画化したりしている。)などによるスパイ小説があった。フレミングは、ロイター通信、海軍情報部などでの経験があり、そこでの国際感覚や知識が、ジェームズ・ボンドの小説で生かされているとのこと。
ジェームズ・ボンドの映像化は、1954年にBarry Neisonがボンド役でCBSにおいてTV化。しかし評判はあがらなかったという。その後、小説の人気が高まり、映画化の動きはフレミングを含めていろいろあった。そうしたなか、ハリー・サルツマンが映画化権を取得。アルバート・R・ブロッコリも映画化をもくろんでいたため、両者が組んでUnited Artists社に持ち込んでいる。当初、サンダーボール作戦の映画化などを想定していたらしいが、これは、フレミングが映画化を目論んだときの脚本の小説化であり著作権問題が起こっていたため映画化はできず。結果として、Dr.Noが映画化第一弾に。

以下に、備忘として、007の映画(あらすじ付き)と原作の比較などを記載するが、若干ネタバレの傾向があるので、これを見る人はご注意を。(DVDのパッケージに結構ネタバレ的記述がある。だいたい、その範囲にとどめるよう努めているが。。。)

Dr. NO From Russia with Love Goldfinger Thunderball You Only Live Twice On Her Majesty's Secret Service
Diamonds Are Forever Live and Let Die The Man With The Golden Gun The Spy Who Loved Me Moonraker For Your Eyes Only
Octopussy A View To A Kill The Living Daylights Licence To Kill Goldeneye Tomorrow Never Dies
The World Is Not Enough Die Another Day Casino Royale

Others

Casino Royale (1967) Never Say Never Again Chitty Chitty Bang Bang


Dr.NO  ドクター・ノオ (初公開時タイトル:007は殺しの番号)  (1962)
製作: ハリー・サルツマン、アルバート・R・ブロッコリ
監督: テレンス・ヤング
脚本: リチャード・メイボーム
原作: イアン・フレミング
出演: ジェームズ・ボンド・・・ショーン・コネリー
     ハニー・ライダー・・・・ウルスラ・アンドレス
     ドクター・ノオ・・・・・・・ジョゼフ・ワイズマン
     M・・・・・・・・・・・・・・・バーナード・リー
     マニーペニー・・・・・・ロイス・マックスウェル
      フェリックス・ライター・・ジャック・ロード
     デント教授・・・・・・・・アンソニー・ドーソン
     クォレル・・・・・・・・・・John Kitzmuller

あらすじ

映画は、銃口に向かってボンドが拳銃をうって銃口が真っ赤になり(通称「ガン・バレル・シーケンス」)、ボンドのテーマで始まる007シリーズのおきまりのスタイルで始まる。話は、英国秘密諜報部ジャマイカ支局のストラングウェーズ中佐が襲撃されることから始まる。この調査のためにジェームズ・ボンドが送り込まれることに。Mの部屋で、Mからボンドの所持する拳銃ベレッタでは威力が小さいので、ワルサーPPKを持って行くように命令される(この映画では、まだQも秘密兵器も登場せず。武器の話はこれだけ。)。ジャマイカ空港に到着したボンドは、総督官邸の車の運転手に出迎えられるが、ボンドはこれを偽物と見抜く。ボンドは誰の差し金かを問いつめるが、白状する前に、偽運転手は自殺してしまう。このあと、現地の若者クォレルとチームを組んで調査し、Drノオの島であるクラブ・キーに目をつける。ボンドは、その島の岩のサンプルを入手し、現地のデンス教授に分析依頼する。実は、デンス教授はDrノオの手下で、ノオからボンド殺害命令を受ける。手段は毒蜘蛛。しかし、このたくらみは失敗し、ボンドはデンス教授を殺害する。その夜、ボンドはクォレルとともにクラブ・キーに潜入。そこに、何も知らない現地の女性ハニー・ライダーが珍しい貝を集めるべく登場。Drノオの手下がボンド等を捕らえるべく、ドラゴンのような火を噴く装甲車が登場。クォレルはやられ、ボンドとハニーが捕らえられる。島は放射能をだす岩で覆われており、捕らえられた2人は石けんとシャワーの洗浄マシンにかけられ、朝食で接待される。睡眠薬入りコーヒーで眠らされ、夕食でDrノオと対面する。Drノオは、スペクターのメンバーで、放射能によりミサイルやロケットの飛行を妨害する計画により、東西両大国を脅迫し、世界征服を狙っていた。

撮影までの経緯
この作品は、当初からシリーズ化を想定していたものの第一弾。ボンド役には、ケイリー・グラントやロジャー・ムーアも候補に挙がった。しかし、ケイリー・グラントは、1作目に出演してもらってもその後も交渉が大変であろうと製作側が考えたこと、ロジャー・ムーアはTVの仕事で忙しかった。そのため、当時無名であったショーン・コネリーを抜擢。当初、UA社は難色を示したという。本作の予算は100万ドル。
ジェームズ・ボンド像は、本作品のテレンス・ヤング監督によって造り出された(身のこなし方など、監督自身の分身の様なものらしい。)という。テレンス・ヤング自身、紳士で、最高級のものを好み、またボクシングなどをやっていたとのこと。本作では、ボンドの上司であるM、その秘書であるマニーペニーは登場するが、秘密兵器担当のQは登場していない。したがって、秘密兵器もない。ボンドが持ち歩く拳銃ベレッタでは威力がないと、ワルサーPPKを渡すスタッフがでてくるだけ。そのワルサーPPKで、丸腰の敵方を暗殺するシーンなど、冷徹なボンド像が表現されている。
映画では、Dr.NOは防諜・テロ・復讐・搾取などを行うPrivate Organizationのスペクター(The Special Executive for Counterintelligence Terrorism Revenge and Extortion)に所属するとしている。これは、小説とは異なる。政治的配慮とも言われているが、小説のサンダーボール作戦(小説ではスペクターはここで登場)によれば、フルシチョフの政策によりスメルシュは解体されているので、この映画でも使えないという事情があったのではないかと思われる。)。Dr.NOはNYの俳優ジョゼフ・ワイズマンが東洋人風にメイクアップしている。最初に登場するシーンは、当時斬新なデザインのインテリアとアンティークな家具のある部屋の中にいる部下の失敗を叱責する不気味な声だけ。Dr.NOを印象づける重要なシーンとなっている。
セットの美術監督はケン・アダム。ケン・アダムはこのほか、Dr.NOのアジトのデザインや原子炉制御施設のデザインも行っており、この実績をスタンリー・キューブリックに認められ「博士の異常な愛情」での仕事に招かれている。この原子炉制御施設については、今見ると笑ってしまう。まるで、隣の国の北xxの施設?原子炉が剥き出しで、そこに防護服を着ている制御操作担当者たちやDr.NO、そしてボンドがいるのだから。
初代ボンドガールのウルスラ・アンドレスは、訛りがひどかったので声優を使っている。この他、冒頭のカジノとボンドのホテルルームでパジャマ姿で登場するシルビア役にユーニス・ギャイソン(マニーペニー役で連続して登場することになるマックスウェルにこの役のオファーもあったとか。)。

原作との比較
「ロシア」ほどではないが、後の映画に比べてかなり原作に忠実。
登場人物
映画では、本作が第1作目だが、原作では「ロシア」で傷ついたボンドのリアビリのために南国ジャマイカの簡単な事件調査のために送り込んだところ大事件だったという設定。小説では、5年ほど前の「死ぬのは奴らだ」の事件で、ボンドはジャマイカに乗り込んでおり、そのときにジャマイカ支局のストラングウェーズ中佐や、ジャマイカ人の助手クォレルが登場。この2人の登場人物について言えば、ストラングウェーズ中佐が3人の中国系黒人に射殺されてしまうというのは同じ。一方、クォレルの登場は、ボンドがジャマイカ空港に到着したときの迎えの場面。旧知の仲だから、こうした設定ができるので、映画では、DrNOが送り込んだ敵方が運転手に化けて迎えにくるということになっている。映画でボンドに毒蜘蛛を仕掛けたデンス教授は、原作では出てこない。原作は犯人は不明だが毒ムカデが登場している。
Dr.NOのビジネス
最大の違いは、Dr.NOの位置づけ。映画ではSPECTERのメンバーであるが、原作は、元ギャングの偏執狂。クラブ・キーに、自分が独裁者である王国を私的に作り上げ、人間の苦痛の限界を研究している。ビジネスは、鳥の糞からつくる肥料。さらにこれで稼いだ金で、ミサイルの軌道を狂わせるという新たなビジネス展開を考えている男というもの。映画のような原子炉はでてこない。
拳銃
なお、映画のはじめの方で、所持する拳銃について、ボンドはMから小言を言われているが、映画をみただけでは、なにの話か分からない。映画では、単に、直前の事件で銃が引っかかって取り出せずボンドが負傷したことについての小言となっている。これは、小説においては、Dr.NOの前の事件に相当するロシアから愛を込めてでのクレッブとの対決の時の出来事を指している。

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From Russia With Love ロシアより愛を込めて (初公開時タイトル:007危機一髪)  (1963)
製作: ハリー・サルツマン、アルバート・R・ブロッコリ
監督: テレンス・ヤング
脚本: リチャード・メイボーム
原作: イアン・フレミング
出演: 
James bond : Sean connery
Tatiana : Daniela bianchi
Kerim bey: Pedro Armendariz
Rosa Klebb: Lotte Lenya
Grant : Robert Shaw
M : Bernard Lee
Sylvia : Eunice Gayson (前作でも登場。)
Morzeny : Walter Gotell (この俳優は、ここではスペクターの一員として登場しているが、後に、ソ連の将軍役として登場している。)
Vavra : Francis de Wolff
Miss Moneypenny : Lois Maxwell
Vida : Aliza Gur
Zora : Martine Beswick
Kronsteen : Vladek Sheybal
Ernst Blofeld ? = アンソニー・ドーソン(映画のクレジットでは”?”となっている。ということは、ブロフェルドはデント教授だったのか?)
Boothroyd(後の映画ではQ。この映画ではQブランチの担当官) : Desmond Leewelyn

あらすじ
スペクターは、ロシアの暗号解読器レクターを強奪し、また、ボンドに復讐するため、チェス世界選手権選手のクロスティーン(スペクターNo5)に計画立案、クレッブ(No3)に実行を命じる。クロスティーンの考案した作戦は、イスタンブール総領事館の女性がボンドの写真を見て恋をし、レクターを持ち出すので、ボンドに警護に来てほしいと持ちかけるというもの。また、ソ連諜報機関幹部であるが、スペクターに秘密裏に寝返っていたクレッブは、殺し屋として、配下のグラントを起用する。クレッブは、イスタンブール総領事館勤務の保安局員であるタチアナ・ロマノバに出頭命令を出し、ボンドに接触するよう命じる。英国秘密諜報部では、Mがボンドにイスタンブールに発つよう命じる。その際、Q課のブースロイドが、ナイフ、銃、金貨、催涙ガスを隠して収納することのできるスーツケースをボンドに渡す。イスタンブールに到着したボンドは、イスタンブール支局長のケリム・ベイと合流。ソ連側の動きを、ケリムの秘密オフィスから地下道を通ってソ連総領事館下まで行き、潜望鏡で調査にいく。ケリムは、ソ連の手先であるブルガリア人のクレリンコ等に狙われ、オフィスを爆破されたり、ジプシー一族の長ヴィヴラを訪ねているところを襲われたりするが、ボンド等と戦い、窮地を脱出する。ケリムは反撃に出て、クレリンコが隠れ家から逃げだそうとするところをライフルで打ち倒す。こうした1日を過ごして、ボンドは、ホテルの部屋に戻ると、ベッドにロマノバが待っている。ボンドは、ロマノバのいるベッドに入って、、、その部屋の鏡はマジック・ミラーになっていて、鏡の裏から、ボンドとロマノバの様子をフィルムに収めているスペクターがいた。。。本作は、荒唐無稽な基地・秘密兵器、ド派手な戦闘シーンなどは出てこないが、ストーリーで見せるものとなっていて、それが幸いして、時代に左右されない傑作になっていると思う。

原作との比較
細部を含めて、ほとんど、原作に忠実に映画化されている。たとえば、スーツケース型の秘密兵器、ジプシー女同士の決闘(名前もヴィダ、ゾラで同じ)、クレリンコが看板に描かれた女性の口あたりから脱出しようとしているところをボンドが肩をかしてケリムがライフルで撃つなど。異なるのは、ケリムの名前が、原作ではダーコ・ケリム、映画ではケリム・ベイである点、暗号解読装置の名称が原作ではスペクター、映画ではレクターである点など。また、次のように対立の構図が異なることから、出来事の順番、レクターを持ち出してオリエント急行に乗るまでの出来事などが異なる。さらに、映画では、オリエント急行を降りて、トラックでの移動、ヘリにボンドが追われるシーン(これはヒッチコック監督の「北北西」のオマージュ)、ボードでのチェイスなどアクションによる見所が入っているところが異なる。
対立の構図

決定的に違うのは、原作は、ソ連の秘密諜報機関スメルシュ(スパイ殺し)対ボンドであるのが、映画ではスペクター対ボンドという構図。原作ではスメルシュが、いくつかの作戦を妨害してきたボンドに恥をかかせながら死刑執行するというのを目的としているが、映画では、スペクターがソ連の暗号装置レクターを略奪する(人質ならぬモノ質として強請る)ことを目的としている点。Dr.NOの映画化の際にらソ連のスメルシュを敵にせず、非政府テロ集団であるスペクターを悪役に据えたことに起因して、ソ連のスメルシュ、英国の秘密諜報部、スペクターの3者が登場してしまうための複雑系となってしまっている。
ラスト
ラストで、クレッブとボンドが戦う場面は、映画と原作では決定的に違う。(ネバレになるので記述できないが。)

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Goldfinger ゴールドフィンガー  (1964)
製作: ハリー・サルツマン、アルバート・R・ブロッコリ
監督: ガイ・ハミルトン
脚本: リチャード・メイボーム
原作: イアン・フレミング
出演: 
James Bond : Sean Connery
Pussy Galore : Honor Blackman
Auric Goldfinger : Gert Frobe
Jill Masterson : Shirley Eaton
Till Masterson : Tania Mallet
Oddjob : Harold Sakata (Tosho Togo)
M : Bernard Lee
Solo : Martin Benson
Felix Leiter : Cec Linder
Simmons : Austin Willis
Moneypenny : Lois Maxwell
Midnight : Bill Nagy
Kisch : Michael Mellinger
Johnny : Peter Cranwell
Bonita : Jadja Regin
Smithers : Richard Vernon
Mr. Ling : Burt Kwouk
Q : Desmond Llewelyn (ここではQブランチのQ。Qがブランチ、人の呼び名両方に使われている。)
Mei-Lei : Mai Ling

あらすじ
ボンドは、革命組織の基地を爆破した後、Mから金の密輸を大々的に行っているゴールド・フィンガー監視命令を受ける。ボンドがゴールド・フィンガーを監視するためマイアミのホテルに行くと、ホテルのプールサイドで、ゴールド・フィンガーはいかさまカード賭博をしていた。ボンドは、ゴールド・フィンガーのいかさまを見抜き、ゴールド・フィンガーに警告するとともに、ゴールド・フィンガーの下でいかさまを手伝っていた女性ジル・マスターソンをボンドの自室に連れ出す。しかし、そこで、ボンドは空手チョップを受けて気を失い、その間にジルは金粉ペイントを全身に塗られて皮膚呼吸ができず死亡してしまう。ボンドは、Mの執務室で行きすぎた行動を反省するとともに、再度、ゴールド・フィンガーに接近。ゴルフ場で、ボンドはゴールド・フィンガーと賭をするが、ボンドは、ゴルフボールすり替えのトリックにより賭に勝つ。ゴールド・フィンガーは、ボンドに再度警告の意味を込めて、その付き人で、怪力の空手の名人であるオッドジョブの帽子投げ(当たると銅像の首が落ちる)の技などを見せつける。ボンドは、隙を見てゴールド・フィンガーのロールス・ロイスに発信器を仕掛け、アストン・マーティンDB5に乗って追跡し、スイスのゴールド・フィンガーの工場に潜入する。しかし、そこでボンドはゴールド・フィンガーに捕らわれ、米国まで連れて行かれることに。実は、ゴールド・フィンガーは、米国のフォート・ノックス(連邦金塊貯蔵施設)を襲い、そこの金を放射能に汚染させ、自ら所有する金の価値を数十倍に引き上げる計画を持っている世紀の大犯罪者だった。

Qの秘密兵器
本作で、ボンドカーが登場。アストン・マーティンDB5を改造したもので、追跡用レーダーのほか、窓は防弾ガラス、煙幕・油をまくことができ、フロントに機関銃、さらに、助手席は航空機の脱出装置のようなものが仕掛けられているという、かの有名なもの。なお、原作では、初めてボンドカー(というか、秘密情報部支給の自動車):アストン・マーティンDB3に追跡レーダーや隠し引き出しなどの装備がなされたものが登場。

原作との比較
シーケンスが異なるところがあるが、大筋で原作に忠実。もっとも大きな違いは、ゴールド・フィンガーのフォート・ノックス襲撃の目的。
フォート・ノックス襲撃
原作は、ソ連のスメルシュの資金係であるゴールド・フィンガーが、連邦金塊貯蔵施設を襲い、米国の金を強奪し、圧倒的な資金の確保と西側経済の混乱を目的としたもの。映画では、ゴールド・フィンガーの所有する金の価値を引き上げるため、連邦近海所蔵施設の金を放射能汚染させてしまうということを目的としている。なお、囚われの身であるボンドが、フォート・ノックス襲撃の計画であるグランド・スラム計画を知る経緯、計画を外部に伝達する手段なども原作と映画で異なっている。
プッシー・ガロアの位置づけ
映画では、主演女優演じるプッシー・ガロアの位置づけが、ゴールド・フィンガーを協力する航空サーカス団の団長。原作では、ゴールド・フィンガーの誘いに乗るギャング団の首領。なお、ゴールド・フィンガーの計画におけるギャング団の役割が、映画(襲撃に必要な資材の密輸)と原作(襲撃における大規模な戦力)とで異なる。

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Thunderball  サンダーボール作戦  (1965)
製作: ケビン・マクローリー
監督: テレンス・ヤング
脚本: リチャード・メイボーム、ジョン・ホプキンス
原作: イアン・フレミング
出演: 
James Bonde : Sean Connery
Domino : Claudine Auger
Largo : Adolfo Celi
Fiona : Luciana Paluzzi
Felix Leiter : Rik Van Nutter
Count Lippe : Buy Doleman
Patricia : Molly Peters
Paula : Martine Beswick
M : Bernard Lee
Q : Desmond Llewelyn
Moneypenny : Lois Maxwell
Foreign Secretary : Roland Culver
Pinder : Earl Cameron
Palazzi : Paul Stassino
Madame Boitier : Rose Alba
Vargas : Philip Locke
Kutze : George Pravda
Janni : Michael Brennan

あらすじ:スペクターは、NATOの核爆弾2機を搭載した航空機をハイジャックし、英米に対して1億ドル以上のダイヤモンドを要求する計画を立てる。その指揮をとるのは、スペクターNo.2のラルゴ。ハイジャックのために、スペクターは、同機搭乗予定のダバル少佐を殺し、ダバル少佐に顔を整形手術で似させた男を送り込む。しかし、偶然、ボンドは、保養所でダバル少佐を知っており、同保養所にダバル少佐の死体が持ち込まれたところを目撃していた。脅迫状を受け取った英国内務大臣は、Mに、核爆弾奪還のためのサンダーボール作戦の指揮を任ずる。Mから事件の詳細説明を受けたボンドは、バハマにいるダバル少佐の妹ドミノにねらいをつけ、バハマに飛ぶ。ドミノはラルゴの情婦だった。まず、ボンドは、海で、ドミノに接近し、ラルゴを紹介するように依頼する。そして、カジノで、ラルゴに接近する。その後、ボンドは、ラルゴの所有する大型クルーザー「ディスコ・ヴォランテ号」の水中にハッチがあることを発見し、さらにラルゴの屋敷に調査のために潜入する。。。。

Qの秘密兵器:冒頭、背中にジェットを背負って飛行するための装置やDB5が搭乗するが、これはおそらくQの秘密兵器と考えてよい。Qが、秘密兵器をもって搭乗するのは、映画開始後60分あたりで、腕時計型及びカメラ型ガイガーカウンター、カプセル型(飲み込む)の位置発信装置、小型の水中酸素ボンベなどをボンドに渡している。

原作との比較:全体の流れは、映画でも、原作のストーリーをそれなりに取り込んでいる。原作でも、悪役の組織はスペクター。原作で、それまで敵であったソ連のスパイ殺し組織スメルシュは、すでに、フルシチョフの命令で解体されているとある。
保養所シーン:原作では、ボンドの健康診断の結果を危惧したMが自然・食事療法の施設に送りこんで、そこでスペクターの手先であるリッペ伯爵との争い(牽引療法機とサウナの争い)を繰り広げており、これは映画でも同じ。
ボンドの仲間:原作はフェリックス・ライターのみ。ボンドは、NATO機がバハマ辺りに行ったのではないかというMの感により潜入捜査することになる。ナッソーに、不動産を探しに来た実業家、ライターは顧問弁護士ということで潜入。一方、映画では、かなり早い時期から、大々的にボンドがラルゴに正体を現して挑戦しているので、潜入捜査という状況ではない。仲間も、ポーラとかピンダーとか、ライター以外も多くいる。
ドミノへの接近:原作は、ドミノがたばこを買おうとしているところで接近。その段階では、ドミノが何者かは、ボンドは分かっていなかった。一方、映画は、最初からボンドは、ドミノをターゲットとしてナッソーに飛んでいるので、ドミノが海でダイビングして岩に足を引っかけたところで接近し、彼女を助ける設定。
ディスコ・ヴォランテ号襲撃:この変がもっとも原作と映画とで異なるといって良いのではないか。原作は、原子力潜水艦で追跡し同鑑の乗員がボンドに従って襲撃、映画はヴォランテ号に潜入し、一旦はバレるが、その後、兵員は航空機からパラシュート落下、ボンドもヘリで急行。

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You Only Live Twice  007は二度死ぬ  (1967)
製作: ハリー・サルツマン、アルバート・R・ブロッコリ
監督: ルイス・ギルバート
脚本: ロアルド・ダール
原作: イアン・フレミング
出演: ジェームズ・ボンド・・・ショーン・コネリー
     プロフェルド・・・・・・・・ドナルド・プレザンス
     タイガー田中・・・・・・・丹波哲郎
     キッシー・・・・・・・・・・浜美枝
     アキ・・・・・・・・・・・・・若林映子
     M : Bernard Lee
     Q : Desmond Llewelyn
     Moneypenny : Lois Maxwell

あらすじ

米国の宇宙船が何者かに奪われた。米国政府は、これは戦争を仕掛けてきたものと見なさざるを得ないとソ連を非難するが、英国政府が、奪われた宇宙船は日本付近に着陸したので調査の手配したと仲裁に入る。このミッションのために香港に飛んでいたボンドは、狙撃されて死亡したと公表される。英国海軍の水葬により、ボンドは海底に沈むが、そこで英国潜水艦に運び込まれる。ボンドの死亡記事と葬儀は偽装で、秘密裏に日本に潜伏する。ボンドは、Mの指示により日本での協力者ヘンダーソンに会うが、ヘンダーソンは暗殺されてしまう。暗殺者を追ってボンドは日本の化学工業会社「大里」に潜入し、そこで証拠資料を入手する。しかし、「大里」の警備に見つかり追われてしまう。そのとき、ヘンダーソンの助手アキに救われ、アキに導かれて、日本の秘密情報部のタイガー田中に会う。田中の手配により、再度、ボンドは「大里」に乗り込むが、大里社長に、ボンドが拳銃を携帯していることを見抜かれ、殺されそうになる。そこに、アキが現れ、トヨタ2000GTに乗って逃げる。カーチェイスが繰り広げられ、タイガー田中が手配したヘリコプターが、追っ手のトヨペット・クラウンを排除する。その後、2人は、怪しい貨物船を追って神戸に行くが、そこでも「大里」の手下等にボンドは捕らえられ、再度殺されかかる。かろうじて脱出したボンドは、神戸と上海の間にある怪しい島にキッシーとの偽装結婚をして乗り込む。本作は、とにかく東京オリンピック直後の日本の原風景と、へんてこな日本の社会・文化の登場が秀逸。(原作も、日本の社会・文化のとらえ方がおもしろい。)
なお、本作品ではじめてブロフェルドは正体を見せる。その後の作品で、ブロフェルドを演じる役者が次々と変わるが、フレミング原作のブロフェルド三部作でも、事件毎に整形手術などによって顔が変わっていることになっているので、まあ、違和感なし。むしろ、フェリックス・ライターがなんで毎回役者が変わるのかのほうが気になる。

Qの装備
リトル・ネリーといわれる携帯型・組立型ヘリ。ロケットランチャーなどの武器を装備。ブロフェルドの手下のヘリコプターを数機撃破している。
なお、トヨタ2000GTは日本車ボンドカーと言われているが、これはアキの運転する車。Qの装備ではない。

原作との比較
日本を舞台に、日本の公安の秘密諜報機関タイガー田中の下で敵を倒しに行くこと、忍術がクローズアップされていることなど大まかなストーリーはベースにされている。しかし、次のような点(主なもので記憶ベースだが)で異なっている。
敵の活動:映画は米ソを全面戦争に導くべく双方の宇宙船を奪うという活動。原作は、死の城(毒花・ピラニア・毒蛇などを庭に配置し)日本人の自殺志願者をどんどん自殺する機会を提供するという不思議な犯罪?。
ボンドの日本派遣:映画では、宇宙船が消えてしまった謎を解明すべく死亡を装って日本に潜入。原作は、妻を失い腑抜けてしまいヘマばかりしているボンドをクビにする前の最後のチャンスとして、立ち直らせるべく困難なミッション(日本の秘密情報機関が保有する暗号解読器をCIAに悟られずに入手すること。)を与えるというもの。ボンドにやる気をおこさせるために昇進(007→7777)させて日本に派遣する。
タイガー田中との関係:映画では、当初からボンドに協力する態度をとっており(部下の部隊の訓練を見せるなど)、かつ、敵の本拠地を100名の部下を伴ってボンドと共に襲撃している。原作では、ボンドが、タイガー田中に気に入られるように飲みに行ったり、能力比べをしたりということで徐々に関係構築をする。そして、暗号解読装置を提供する代わりに、日本政府の頭痛の種である死の城の主(スイスから来た植物学者)の暗殺(外国人同士の喧嘩ということで日本政府が絡まない形をとろうとする。)を持ちかけるというもの。その後、ボンドに日本の文化や忍術を教え込み、単身で死の城に乗り込ませている。
タイガー田中の基地:映画では、地下鉄丸の内線が改造されていて、それに乗って、都内を移動するという設定。原作は、工事中の地下鉄の駅構内にある。
ボンドの日本国内移動手段:アキの運転するトヨタ2000GTオープンカー。なんといっても、東京でカーチェイスののち、あっというまに神戸についてしまうというスーパーカー。シートの後ろにテレビカメラ付きのタイガー田中との間の無線装置付き。その他、Qのリトル・ネリー。原作は、国鉄の列車であったり、瀬戸内海を航行する客船、さらに、福岡県警が手配する警察の車。
キャッシー鈴木:映画では、当初からボンドのミッションを知っているタイガー田中側の人間。ボンドと偽装結婚している。原作は、福岡県にあるという設定の黒島の英語を話せる海女。ボンドのミッションは知らない。島の神主の了解のもとに鈴木家にボンドが居候する。
ボンドの死亡記事:映画は、日本に潜入する前に、偽装として死亡記事が掲載。一方、原作では、死の城を破壊した後のほぼラストで、ボンドの死亡記事が。。。

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On Her Majesty's Secret Service  女王陛下の007  (1969)
製作: ハリー・サルツマン、アルバート・R・ブロッコリ
監督: ピーター・ハント
脚本: リチャード・メイボーム
原作: イアン・フレミング
出演: ジェームズ・ボンド・・・ジョージ・レーゼンビー
     テレサ(トレーシー)・・・・・・ダイアナ・リグ
     エルンスト・スタヴロ・プロフェルド・・・テリー・サバラス
     M : Bernard Lee
     Q : Desmond Llewelyn
     Moneypenny : Lois Maxwell

あらすじ
ボンドの運転するアストン・マーティンを軽々と追い抜いていくオープンカーを運転する女性が気になりついて行くと、その女性は海岸で入水自殺を図ろうと。その様子をみて、徐々にボンドの顔が映し出される。二代目ボンド(ジョージ・レーゼンビーの姿がアップに)。ボンドは海に飛び込んで助ける。そこに謎の悪漢がボンド等を襲う。メインタイトルは、これまでのDr.NOから二度死ぬまでの登場人物が徐々に回想されるもの(二代目ボンドの正当性を主張しているよう)。ボンドは休暇で、なじみのホテルに到着し、謎の女性のオープンカーを発見。ホテルの支配人から伯爵夫人だと聞き出す。ボンドはホテルのカジノに行く。そこで、金がないのに賭をして負けてまずい状況になっている謎の伯爵夫人を、ボンドは代わりに支払って助ける。その後、ボンドの部屋に現れた伯爵夫人から名前がトレーシーであることを伝えられる。翌朝、ボンドが目覚めると、トレーシーはすでに消えていた。ボンドは、チェックアウトしようとすると、再び悪漢に銃を突きつけられ、ボンドは、悪漢のアジトに連れて行かれる。そこでボンドを迎えたのは、犯罪組織ユニオン・コルスの首領ドラコであった。実は、トレーシーはドラコの娘で、娘の心の病を治せるのは男と見込んボンドだ、助けてやって欲しいと頼まれる。ボンドは、条件としてスペクターの首領ブロフェルドの居場所に関する情報を求め、ブロフェルドがスイスの山中に潜伏し、爵位を得ようと英国系譜紋章院に働きかけをしていることをつかむ。ボンドは、紋章院の准男爵ヒラリーになりすまして、ブロフェルドの運営する若い女性ばかりを集めて治療しているアレルギー治療研究所に乗り込む。そして、ボンドは、そこでブロフェルドの恐るべき犯罪計画をつかむ。しかし、ボンドが、ブロフェルドの研究所を脱出する前に、ヒラリーがボンドであることをブロフェルドに見抜かれてしまい、ボンドは捕らわれてしまう。

原作との比較
いくつかの点を除き、ほとんど原作に忠実。異なるのは、
・ブロフェルドがターゲットとしたのが、原作は英国、映画は全世界であること
・スイス支局のエージェントが、原作では、ボンドの活動を知らされていず、ボンドを一旦窮地に陥れてしまうのに対し、映画は、最初からボンドの工作を手伝っていること
・ブロフェルドの研究所からボンドが脱出するタイミングが、原作ではブロフェルドに捕らえられる前に脱出するのに対し、映画では、捕らえられてしまったところをロープウェーのロープを伝って脱出するというアクションが加わっていること
・スキーでの脱出シーケンスが異なること

その他気づきの点
・本作映画は、ボンド役が変わったこともあり全体にロマンティックなムードが漂っているとも言えるが、原作も、かなり同様のテイストがある。
・また、映画でボンドはプレイボーイ誌を見ているシーンがあるが、これは、原作はプレイボーイ誌に連載されて発表されたことに関連するのかもしれない。
・本作では、ボンド家の系譜に関する話が出てくるが、ボンド家(ボンドは先祖や爵位に関心がないため、本当に先祖が貴族であったかどうかは結局明らかでない。)の紋章には「the world is not enough」という意味のラテン語?の家憲が記されている。このフレーズは後の、第19作目のタイトルに使われている。
・「ロシアより」と同様に、原作にかなり忠実かつ、他に比較して荒唐無稽度が小さく、スタントとメロドラマが中心という点で、時代とともに古くなるという感じもなく、今見ても、「ロシアより」と同様にすばらしい映画だと思える。

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Diamonds Are Forever  ダイヤモンドは永遠に   (1971)
製作: ハリー・サルツマン、アルバート・R・ブロッコリ
監督: ガイ・ハミルトン
脚本: リチャード・メイボーム、トム・マンキーウィッツ
原作: イアン・フレミング
出演:
James Bond : Dean Connery
Tiffany Case : Jill St. John
Blofeld : Charles Gray
Plenty O'Toole : Lana Wood
Willard Whyte : Jimmy Dean
Saxby : Bruce Cabot
Mr. Kidd : Putter Smith
Mr. Wint : Bruce Glover
Leiter : Norman Burton
Dr. Mets : Joseph Furst
M : Bernard Lee
Q : Desmond Llewelyn
Shady Tree : Leonard Barr

あらすじ
ボンドは、ブロフェルドを追って、日本、カイロ、マリーへと飛び、ついに強敵・巨大犯罪組織スペクター首領ブロフェルドを倒す。その後、ボンドの仕事は、地味なダイヤの密輸事件の解明だった。南アフリカから、ダイヤが盗まれているが、盗品は市場に出回っていないという不可解な事件。また、事件に関連して次々に死者が(これは、Mr.キッドとMr.ウィントの仕業)。ボンドは南アに飛ぶのかと思うが、派遣先はオランダ。ピーター・フランクスという男にすり替わって、ダイヤを米国西部まで密輸するための運び屋を引き受けるというもの。ティファニー・ケイスが運び屋の監視役であり、ボンドはアムステルダムのティファニーのアパートに行く。ティファニーは、予めとってあったピーター・フランクスの指紋と、ボンドが持ったグラスの指紋を照合し、一致するのを確認する。実は、ボンドは、Qの発明によりフランクスの指紋をプリントした薄膜を指につけていた。一旦、ボンドはホテルに戻るが、フランクスがティファニーのアパートに現れるのを察知。そこで、ボンドはティファニーのアパートの部屋にフランクスが行かないよう、エレベータ内で格闘する。ボンドは、フランクスを倒し、棺の中にダイヤを隠してロサンゼルスまで運ぶ。ロサンゼルスから、さらに霊柩車でラスベガスまで運んでいき、そこでダイヤをギャングに引き渡すことになっていた。しかし、ボンドは本物とすり替えて、ラスベガスのサーカス・サーカスホテルや市街などを舞台にダイヤの奪い合いなどを繰り広げる。その後、ボンドは、ダイヤモンドを持って行った男をつけて、ホワイト氏が経営するW Techtronicsの工場に潜入する。そこでボンドは、人工衛星を発見する。実は、この衛星は、ダイヤモンドを使って宇宙からレーザー光を照射し、地球壊滅を行うためのものだった。
007シリーズもだんだんと荒唐無稽度が激しくなってくる。なお、スペクターの首領ブロフェルドとボンドの戦いは、ショーン・コネリー・ボンドで、きちんと、決着をつけているのは立派。

原作との比較
ダイヤ密輸の目的
原作は、南アフリカから年間200万ポンドに上るダイヤモンドを盗み出し、ロンドン経由、米国に密輸をしている組織に潜入し、密輸ルートを解明するという話。20世紀初頭からダイヤモンドの商売の主導権を握っている英国としては、この密輸は、ゆゆしき問題だった。ボンドは、逮捕された運び屋ピーター・フランクスになりすまし、密輸の監視役を務めるティファニー・ケイスに接触する。ボンドは、まんまと米国にダイヤモンドを運び込み、日陰のトーリーというNYのダイヤ受取人から、運び代として、いかさま競馬の情報を与えられる。そこにフェリックス・レイターが現れ、いかさまをつぶしてしまう。ボンドは、運び代をもらい直すということで、ラスベガスに行き、そこでいかさま賭博をする指示をトーリーから受ける。組織に、徐々に入り込み、密輸ルートの始点・終点を突き止める。しかし、そのときは、すでに密輸組織は、ボンドが潜入捜査官であることをつかみ、ボンドを捕らえてしまう。このように、原作は、純粋にダイヤモンドの密輸ルートの解明の話である。映画は、69年に月に人類が立った直後に製作されたこともあり、月面走行車や人工衛星などが登場し、ダイヤモンドの密輸は、人工衛星に取り付けてレーザー光を屈折させるという目的をもったものと、荒唐無稽なものとなっている。
暗殺者
凶暴な2人組の暗殺者キッドとウイント、これは、原作、映画どちらも登場。この二人が、ボンドとケイスを狙うというところも同じ。運び屋ピーター・フランクスが登場するのも原作、映画どちらも同じだが、原作ではスコットランドヤードに逮捕されてしまう、一方、映画はボンドに殺されてしまうところが違う。ダイヤの受取人トーリーは、原作ではギャングの一味、映画は老人のコメディアン。

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Live and Let Die  死ぬのは奴らだ   (1973)
製作: ハリー・サルツマン、アルバート・R・ブロッコリ
監督: ガイ・ハミルトン
脚本: トム・マンキーウィッツ
原作: イアン・フレミング
出演: ジェームズ・ボンド・・・ロジャー・ムーア
     Dr.カナンガ・・・・・・・ヤフェット・コットー
     ソリテア・・・・・・・・・・・ジェーン・シーモア
     M・・・・・・・・・・・・・・・バーナード・リー
     マニーペニー・・・・・・ロイス・マックスウェル

あらすじ
冒頭、国連本部で音波による英国代表暗殺、ルイジアナでジャズ葬送行進を見物している男の暗殺(見物の男と暗殺者との会話:「誰の葬式か?」「おまえのだ!」)、カリブのサン・モニーク島でヴードゥ教の儀式の中での蛇による殺人という3つの英国諜報部員暗殺事件が勃発。ポール・マッカートニーとウイングズによるメインタイトルの後、3代目ロジャー・ムーアによるボンドが登場。ミス・カルーゾ(捜査員)と寝ている深夜のボンドの自宅に、上司のMがマネーペニーを連れて現れる。ボンドは、Mがカルーゾ捜査員を見ないよう、急いでコーヒーを入れるといってキッチンに連れて行く。Mは、ボンドに、3人の諜報部員暗殺事件の話と、カルーゾ捜査員も行方不明であることを伝え、居場所知らないかと聞く。そこに事情を把握したマネーペニーが、Qからだといってボンドに腕時計を渡す(ということでデズモンド・リューウェリン扮するQは登場せず。)。これは秘密兵器で、リューズをひねると強力磁石になる。といったコミカルなシーンの後、ボンドは、これらの事件の関連性を探るべくアメリカに飛ぶ。カナンガ博士という黒人が支配するシンジケートがボンドの捜査線上にあがる。カナンガ博士は、アフリカの神秘的な宗教であるブードゥー教の陰に隠れ、全世界の麻薬市場独占の野望を燃やしていた。ジェーン・シーモア扮するソリテアのタロットカードは、ボンドとソリテアの運命を示していく(というか、ボンドの細工によってLoversというカードが示されるのだけれど。)。・・・ということで、R・ムーア扮する三代目コミカル・ボンド登場の物語(このコミカル路線は「ムーンレイカー」でピークとなる。)。

撮影までの経緯
ショーン・コネリーが降板を宣言し、映画の撮影準備は進む中、3代目ボンド探しが始まった。当初、撮影側はバート・レイノルズを想定したが、製作側から英国人でないことを理由に拒否されている。その後、ハリー・サルツマンと親しいロジャー・ムーアが迎えられた。撮影陣は、ショーン・コネリーと比較されないよう、いろいろと工夫している。たとえば、ショーン・コネリーのボンドはドライマティーニを注文するが、ロジャー・ムーアのボンドは氷なしのバーボンを注文している。また、ロジャー・ムーアは、コメディー路線があるので、映画、全体として、従来のハードボイルドなボンドから、コミカル路線を出すようにしている。
コミカルな要素として、ボートチェイスの際に登場する間抜けでデブ(太っているのを強調するため、腹回りにアンパイヤーの用具をつけたらしい。)なペッパー保安官(Clifton James)も登場させている。これは、映画の悪役などがみな黒人なので、当時の時代背景を考えて、こうした白人キャラクターもおいた様だ。

原作との比較
登場人物:ミスター・ビッグ、その手下のティーヒー、ウィスパーは小説、映画のどちらも登場。巫女のソリテアもどちらにも登場するが、小説では(トランプ)カード、映画ではタロットカードでの占いをする。もちろん、ボンド、M、マネーペニー、Q(小説では、カジノロワイヤル事件で手の甲にスメルシュのマークを刻まれたボンドに優秀な医者を紹介するとともに、ミスター・ビッグの島(サプライズ島)への潜入するときの潜水用具の調達などをしている。映画では名前だけ登場)、フェリックス・ライターはどちらにも登場している。クォレルは、小説では初登場。すなわち、Dr.NOの事件よりも、こちらの事件が先。一方、映画では第1作目のDr.NOの事件でクォレルはやられているので、クォレルJr.が登場する設定となっている。
ボンドが乗り出す背後の事件:小説では、スメルシュの一員であり、ヴードゥー教の死に神であるサメディ大公の死霊であると黒人に信じられているミスター・ビッグが、ソ連の工作組織(西側スパイを倒すことがミッション)スメルシュの資金稼ぎのために、カリブの財宝の金貨を米国内で捌いているので、このミスター・ビッグの組織を壊滅することが目的。一方、映画では、悪役としてカナンガ博士(Yaphet Kotto)が登場。調査のきっかけとなる事件は、3人の諜報部員が殺されたことから、これを調査するというもの。スメルシュの資金となる金貨を調査というものではない。なお、”カナンガ”は、本作撮影に向けて撮影チームがカリブの撮影場所探しをしているときに発見した実在するワニ園のオーナーの名前。映画の中で、ボンドが池の小島の上に残され、一列になったワニの上を飛び跳ねてわたって岸に戻るシーンのスタントをやっている。
ハーレム潜入シーン:
小説では、フェリックス・ライターとともにハーレム内での聞き込みの結果、ミスター・ビッグの居る「ボーン・ヤード」という店におびきだされ、Zテーブルに座ったところでテーブルがエレベータ式に地下に潜ってしまう。そこで、ミスター・ビッグの部下のティーヒーに捕まる。ミスター・ビッグは警告し、ティーヒーはボンドの左の小指を折る。その後、ティーヒーらと格闘の末、ハーレムを脱出。映画では、ボンドが単身でハーレムの店に乗り込み壁際のテーブルについたところで、テーブルと壁が回転して裏の部屋に連れ込まれる。ティーヒー(Julius W. Harris)は、フックのついた義手の大男で、ボンドの指をひねろうとするが、結局は何もせずに、カナンガの命をうけてボンドを解放。
悪役追跡の経路:
小説では、まず、ボンドは、ハーレムから脱出した後、銀影号という列車にソリテアとともに乗って、フロリダ州のセント・ピータースバーグを目指す。そこにある釣り用の生き餌会社がミスタ・ビッグの米国内拠点と睨み、潜入するが、フェリックス・ライターは瀕死の重傷を負う(この瀕死の重傷シーンは、後の「消されたライセンス」で使われている)。その後、ボンドは、ミスター・ビッグを追って、飛行機でジャマイカに飛ぶ。映画では、ハーレムでの出来事の後、すぐに飛行機でジャマイカに飛んでいく(ソリテアのタロットカードが、男が破壊をもたらしにくると示すシーンとダブらせて。)
補足:映画では、列車シーンは映画の終盤で、カナンガの島から脱出したあと登場。そこでのシーンは、窓ガラスが割れて列車の騒音が聞こえるようになるなど、ロシアより愛を込めての映画を思い出させるようなものとなっている。

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The Man With The Golden Gun  黄金銃を持つ男   (1974)
製作: ハリー・サルツマン、アルバート・R・ブロッコリ
監督: ガイ・ハミルトン
脚本: リチャード・メイボーム、トム・マンキーウィッツ
原作: イアン・フレミング
出演:
James Bond : Roger Moore
Scaramanga : Christopher Lee
Goodnight : Britt Ekland
Andrea : Maud Adams
Nick Nack : Herve Villechaize
J.W.Pepper : Clifton James
Hai Fat : Richard Loo
Hip : Soon-Taik Oh
Rodney : Marc Lawrence
M : Bernerd Lee
Moneypenny : Lois Maxwell
Lazar : Marne Maitland
Q : Desmond Llewelyn

あらすじ
ボンドがMに呼び出されると、007と刻印された純金製の弾丸を見せられる。第三の乳首をもつスカラマンガという黄金銃を駆使する殺し屋からの挑戦状と考えられた。ボンドは、002がベイルートで黄金銃の犠牲となったことから、ベイルートに飛ぶ。そこで入手した純金弾丸をQが分析し、マカオのラザーという技術者によって製造されたものと判明。今度は、ボンドはマカオに飛ぶ。ラザーから純金弾丸の受け渡し場所を聞き出したボンドは、中国賭博場に行き、そこで純金弾丸を受け取るアンドレア(モード・アダムス)を追跡。香港まで尾行するが、そこで秘密情報部努めのグッドナイト(ブリット・エクランド)が現れる。ボンドはグッドナイトとともにアンドレアの止まるホテルに潜入。アンドレアの口から、スカラマンガの現れる場所を聞き出す。そこを張り込んでいると、ソレックスという太陽光エネルギーを高効率で電力に変換する装置の発明者をスカラマンガが狙撃するところに出くわす。ボンドは、スカラマンガを雇った者を、タイの億万長者ハイ・ファットであると見込み、タイのハイ・ファットの邸に、スカラマンガになりすまして潜入する。
本作は、カンフー映画が流行った時期の映画であり、空手道場での戦いや、燃えよドラゴンチックな場面の登場、さらに、スカラマンガと行動を共にする神出鬼没の小人ニックが登場するなど、様々な者が登場。相撲の関取の登場場面は、四股が全然できていなく、関取っぽくない。また、前作に続き、ペッパー保安官が登場。ペッパー保安官を乗せたカーチェイスで、有名な360度ロールの川越えジャンプをしてみせる。奇っ怪な東洋趣味とコミカル路線を踏襲した作品。

原作との比較
スカラマンガの身体的特徴(第三の乳首)、黄金の弾丸を用いること、殺し屋となった過去の経緯(サーカスで大事にしていた象が殺されて、象を殺した人間を撃ち殺してしまって、サーカスを逃走)といったこと、秘密情報部のメアリー・グッドナイトが登場するということ以外は、映画と原作との間で、ほとんど異なっている。
スカラマンガが秘密情報部(ボンド)のターゲットとなった理由
映画は、007と刻印された純金弾丸が秘密情報部に送られてきて、別の任務に従事していたボンドが殺されてしまうと、当該任務の遂行に支障を及ぼすということから、当該任務からボンドを解任しスカラマンガを追跡することに。原作では、「二度死ぬ」事件の後、1年以上も失踪していたボンドがKGBに洗脳されていたので、その復帰のための名誉回復のための困難な仕事に従事させるというもの。Mとしては、スカラマンガに情報部員が何人も暗殺されていたので、スカラマンガを排除することができればよいし、もしも、スカラマンガの排除をし損なっても、洗脳されてしまったという経歴問題を抱えるボンドが殺されるだけという判断。
スカラマンガの拠点
映画は中国領海内の島。原作はジャマイカ。
スカラマンガのビジネス
映画は、スカラマンガは、石油危機を背景に、太陽光エネルギーを牛耳るという、殺し屋家業以外の大規模ビジネスにも手を出そうとしている。原作では、スカラマンガは、殺し屋家業の他、ジャマイカでギャングやKGBの出資を受けて新たなホテル・舵のビジネスを拡張しようとしている。
スカラマンガへの接近
映画では、当初からスカラマンガはボンドを認識。原作では、潜入捜査で保険調査員としてジャマイカに乗り込み、そこで、偶然を装って接近し、スカラマンガの手下として雇われる。
スカラマンガとの対決
映画では、スカラマンガの住処での一騎打ち勝負。原作は、CIAのフェリックス・ライターと共同してスカラマンガとギャングを倒す。

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The Spy Who Loved Me 私を愛したスパイ   (1977)
製作: アルバート・R・ブロッコリ
監督: ルイス・ギルバート
脚本: クリストファー・ウッド、リチャード・メイボーム
原作: イアン・フレミング
出演: ジェームズ・ボンド・・・ロジャー・ムーア
     アニヤ・アマゾヴァ・・・バーバラ・バック
     ストロンバーグ・・・・・クルト・ユルゲンス
     ジョーズ・・・・・・・・・・・リチャード・キール
     M : Bernard Lee
     Q : Desmond Llewelyn
     Moneypenny : Lois Maxwell

あらすじ

英国とロシアの原子力潜水艦が消息を絶った。ロシアからは同じく最も優れた諜報部員トリプルXをそれぞれ送ることに。また、英国は、最も優れた諜報部員007ボンドを、オーストリアのミッションから呼び戻し調査業務に当てることに。オーストリアで、ボンドがスキーで山小屋から降りるところで、KGBに追われるが、暗殺者を倒して、雪山の崖からスキーでジャンプ−−ユニオンジャックのパラシュートが印象的な冒頭シーン。メインタイトルの後、ボンド・露のトリプルXのそれぞれは、原潜乗っ取りに関連すると思われる原潜トラッキングシステムの技術情報を納めたマイクロフィルムを求めてカイロに飛ぶ。しかし、ボンドらの行く先では、次々と、関係者が暗殺される。これは、海運王ストロンバーグの手下であり、金属製の歯をもつ怪物ジョーズの仕業であった。英、露両諜報機関は、共同戦線を張ることとし、ボンド、トリプルXを、海運王ストロンバーグのもとに送り込む。
本作は、コミカルな面とアクションが絶妙にマッチしたロジャー・ムーア・ボンドの最高作だと思う。

Qの秘密兵器
今回は、潜水艦としても機能するロータス・エスプリが搭乗。その他、Qの研究室では、リニアモーターカーの原理?を用いたと思われるティーポットを乗せた盆が高速でマネキンの首を切るなど、あいかわらずの冗談のような秘密兵器の研究シーンが登場。なお、本作では、ブースロイド少佐とQの名前が久々に名乗られている。

原作との比較
まったく関係なし。タイトルだけ。原作は、主人公ヴィヴ・ミッシェルというカナダ人の若い女性の恋の遍歴の物語。傷心旅行?の途中で、モーテルで留守番を頼まれたら、そこにギャングが登場、その危機を、たまたま、ミッション帰りのボンドが立ち寄って救うというだけのお話。このようなストーリーがボンドシリーズの映画の元になるはずなし。

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Moonraker  ムーンレイカー  (1979)
製作: アルバート・R・ブロッコリ、マイケル・G・ウィルソン
監督: ルイス・ギルバート
脚本: クリストファー・ウッド
原作: イアン・フレミング
出演: ジェームズ・ボンド・・・ロジャー・ムーア
     ホーリ・グッドヘッド・・ロイス・チャイルズ
     ドラックス・・・・・・・・・・ミシェル・ロンズデール
     ジョーズ・・・・・・・・・・・リチャード・キール
     Cornne Du Four : Corinne Clely
     M : Bernard Lee
     Q : Desmond Llewelyn
     Moneypenny : Lois Maxwell
     Chang : Toshiro Suga
     Manuela : Emily Bolton
     Dolly : Blanche Ravalec
     General Gogol : Walter Gotell

あらすじ

米国から輸送中のスペースシャトルがハイジャックされた。Mは、007に調査させようとする。007はアフリカから小型ジェット機で帰国中に、搭乗員(実は敵)に機外に突き落とされる。パラシュートを持っていないボンドは、機外に脱出した敵方のパラシュートを空中で格闘の末、奪う。しかし、小型ジェットにはジョーズも乗っていて、空中でジョーズに襲われる。ボンドは、奪ったパラシュートを急に開くことで、ジョーズから逃れる。一方、ジョーズは、パラシュートをつけていたが、開くためのヒモを強く引きすぎてちぎれてしまう。そのまま、サーカスのテントに落下−−メインタイトル−−Mの執務室で、防衛大臣から事件の調査を命じられたボンドは、Qからリストバンド式(装甲板を突き抜く矢などが飛び出す。)の秘密兵器を受け取る。 ボンドはまず、シャトルの開発会社である米国ムーンレイカー社に乗り込む。同社の社長であるドラックスは、宮殿の様な家に住んでおり、そこでボンドと対面する。そして、女性研究者であるグッドヘッド博士を紹介される。グッドヘッド博士はボンドに研究施設を紹介し、遠心力を利用した重力加速度Gに耐える訓練機への試乗を勧める。ところが、訓練機の操縦者と入れ替わったドラックスの付き人の東洋人チャンがドラックスから無事には帰すなとの命令を受けてGをどんどん高めていく。ボンドはリストバンド式の秘密兵器によって訓練機のコントローラを破壊し、窮地を脱出する。その夜、ドラックスの書斎に忍び込みボンドは秘密の設計図をコピーする。その後、ボンドはベニスに飛び、秘密の設計図に関する研究をしているらしきドラックス社系列のグラス工房に忍び込み、そこで有毒神経ガスのサンプルを発見する。ボンドはさらに、ドラックス社の秘密を追求すべくリオ・デ・ジャネイロに飛び、ロープウェイの屋根での格闘、イグアスの滝付近でのボートチェイスなどの末、ドラックスの狂気の人類抹殺計画を阻止すべく、ボンドは宇宙に飛び出す。全体としてはアクション、コメディー、そしてSF的特殊技術が強調されたものとなっている(自分としてはジョーズの再登場などでおもいっきりコメディー路線になっていると思う。だいたい、こうしたSFチックなモノは、エポックメイキングな映画でないかぎり、時代とともにテクノロジーが進歩して、B級映画になりかねない。だから、本作もコメディーとアクションでカバーされていると思っている。)。

原作との比較
原作は、私財を投げうって英国のためにムーンレイカーと呼ばれるICBM開発を進める英雄ドラックス卿の研究基地で、軍需省から送り込まれた警備担当官が、研究員の一人に、女性関係のもつれで射殺されたという事件解明にボンドが乗り込むというもの。単純な事件ならばよいが、核弾頭搭載可能なミサイルの実験を妨害されることとなっては英国の威信に関わるためである。そこで、ボンドはスコットランドヤードがドラックス卿の秘書として潜入させているガーラとともに、調査を開始する。映画は、ICBMでは新鮮味がないということで、スターウォーズ(1977年制作)がヒットした直後で、かつ、NASAがスペースシャトルの初飛行に向けた計画を推進していた1979年であったこともあり、スペースシャトルで宇宙にとび出し、宇宙で戦うというものに全面的に書き換えられている。このため、イアン・フレミング原作とはなっているが、全くの別物。登場人物としてドラックスという名前が共通なことぐらい。あと、ムーンレイカーの噴射ガスによってボンドを抹殺しようとする点が強いて言えば共通点。

Qの秘密兵器
映画でボンドに支給されるのは、リストバンド型の装甲版を突き抜く武器。その他、ベニスのゴンドラが高速モーターボートとホバークラフトに変身するというのもQの新兵器だと思う。実験室で登場するものとしては、ヨーヨーのようなものを投げると人にからみついて爆発する変な武器やレーザーガンなどあり。

撮影までの経緯
英国の税制が変わったことから、今回はフランスでの制作。このため、フランス人俳優の起用が必要で、ドラックスなどはフランス俳優。変な東洋人チャンは、パリ在住の合気道の先生。ところで、「私を愛したスパイ」の次は「ユア・アイズ・オンリー」のはずだった。が、SFブームにあやかって、急遽、ムーンレイカーに変更。SFの特殊技術を有する米国の会社にプロダクション側は接触したが、あまりに高価であったことから自前で工夫して撮影することとしている。前作で登場したジョーズについては、人気が高く、子供たちから、悪玉ではなく善玉にしろとのクレームが多かったとのこと。このため、今回はその要望に応えている。
なお、撮影で、素晴らしいのは、命綱なしでのロープウェイの屋根の上での格闘や、ドラックスの基地のセットなど一目見てケン・アダムのセットと分かる各種セット美術(Dr.NOのときからのセンスは相変わらずさえてる。)。

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For Your Eyes Only  ユア・アイズ・オンリー   (1981)
製作: アルバート・R・ブロッコリ
監督: ジョン・グレン
脚本: リチャード・メイボーム
音楽: ビル・コンティ
原作: イアン・フレミング
出演:
James Bond : Roger Moore
Melina : Carole Bouquet
Columbo : Topol
Bibi : Lynn-Holly Johnson
Kristatos : Julian Glover
Lisl : Cassandra Harris
Brink : Jill Bennett
Locque : Michael Gothard
Kriegler : John Wyman
Havelock : Jack Hedley
Moneypenny : Lois Maxwell
Q : Desmond Llewelyn
Minister of Defence : Geoffrey Keen
General Gogol : Walter Gotell
Tanner : James Villiers
Ferrara : John Moreno
Claus : Charles Dance
Karageorge : Paul Angelis
Iona Havelock : Toby Robins
Apositis : Jack Klaff
Santos : Alkis Kritikos
Nikos : Stag Theodore
Gonzales : Graham Crowden
Vice Admiral : Noel Johnson

あらすじ
アルバニア海域でミサイル誘導装置ATACを搭載したまま英国監視船が沈没した。このため、海洋考古学者ハブロック夫妻は、英国の依頼を受けて引き上げ作業に取りかかったが、娘メリナの目の前でが射殺された。メリナの目撃証言をふまえて、事件調査に乗り出したボンドの目前で、暗殺犯と目された男も矢で射殺される。矢を放ったのは、両親の仇を討つため潜入したメリナ。メリナとともに、ボンドは、暗殺犯の邸から脱出、暗殺犯の手下等とのあいだでカーチェイスの末、逃げ切る。肝心の証人が死んでしまい、秘密情報部はこれ以上手を打てないと考えるが、ボンドが、暗殺犯の邸で目撃した男をQのモンタージュにより割り出す。ボンドは改めて、モンタージュの男を追って北イタリアに。そこで、協力者のクリスタトスに接近。クリスタトスから、モンタージュの男は、ギリシャで手広く麻薬密輸などをしているコロンボの手下であると教えられる。しかし、その会話は、録音されており、コロンボにばれてしまう。そのことを知らずに、ボンドは、作家を装い、麻薬密輸の実態を作品の題材とするため知りたいとコロンボの女リスルに接近する。しかし、ボンドはコロンボの罠にはまり捕まってしまう。
本作品は、それまでのコミカルかつ荒唐無稽路線から、肉体派(アクション)路線に回帰。冒頭からダイアナ・リグの墓参り、ブロフェルドとしか思えない男の登場、そして、アイススケートリンク、スキーやボブスレーコースでのチェイスなど、女王陛下の007を思い出させられるシーンが多数あり。さらに、終盤の見所は、巨大岩石の上に立つ修道院に潜入するためのロッククライミング。こうした堅実路線はいつ見てもおもしろい。

原作との関係
For your eyes only (読後焼却すべし)
原作は、ジャマイカのハブロック大佐夫妻がゴンザレス少佐と名乗る男に殺害され、ハグロック夫妻の仲人を務めたMの指示で、カナダと米国の国境付近に潜んでいる犯人を狙撃に出かけるという短編。そこで、ハブロック大佐の娘が、ボンドの狙撃に割り込んできて、矢で仇討ちをするというもの。映画では、ギリシアで海洋考古学研究をしているハブロック夫妻がゴンザレスに殺害され、娘がその仇討ちをボウガンでするというあたりが引用されている。
Risico (危険)
原作は、麻薬密輸組織を壊滅すべく、ボンドがイタリアに飛び、そこで協力者クリスタトスから、エンリコ・コロンボが仕切る組織によるものであると知らされる。ボンドは、クリスタトスからコロンボの殺害を持ちかけられるが、その会話を録音されており、コロンボに計画がばれてしまう。そのことを知らずにボンドは小説家に化けてコロンボの女リスル・バウムに接近するが、コロンボに捕まってしまう。その後、ボンドが麻薬の原料のアヘン倉庫を爆破するといったところまで、ほぼ、映画でも引用されている。
死ぬのは奴らだ
映画後半でボンドとメリナが捕らえられて、二人が縛られて海の中を船に引きずられ、鮫の餌食として殺されそうになるシーンがあるが、これは、原作では、死ぬのは奴らだの終盤のソリテールとボンドが捕らえられたときのシーンからの引用。

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Octopussy  オクトパシー  (1983)
製作: アルバート・R・ブロッコリ
監督: ジョン・グレン
脚本: リチャード・メイボーム、マイケル・G・ウィルソン、George MacDonald Fraser
原作: イアン・フレミング
出演: ジェームズ・ボンド・・・ロジャー・ムーア
     オクトバシー・・・・・・・モード・アダムス
     カマル・カーン・・・・・・ルイ・ジュールダン
     ゴビンダ・・・・・・・・・・・カビール・ベディ
     マグダ・・・・・・・・・・・クリスティナ・ウェイボーン
     ヴィジェイ・・・・・・・・・Vijay Amritraj
     オルロフ将軍・・・・・・スティーブン・バーコフ
     M・・・・・・・・・・・・・・・・・ロバート・ブラウン
      Q・・・・・・・・・・・・・・・・・デズモンド・リューウェリン
     マニーペニー・・・・・・ロイス・マックスウェル
     ミカエラ・クラベル・・・ペネロープ・スモールボーン
     ゴゴール将軍・・・・・・Walter Gotell

あらすじ
冒頭シーン:ボンドは敵の空軍基地を爆破すべく変装して乗り込むが、捕らえられてしまう。脱出するため、BDジェットに乗り込むが、誘導ミサイルに追撃される。敵の格納庫内をボンドはBDジェットで通り抜けて、誘導ミサイルは格納庫の中の戦闘機に激突、みごと基地爆破となる。
メインタイトル後:東ベルリンで009が殺害された。手には、ファベルジュ作の卵形の宝石が。これは偽物で、本物はサザビーでの競売にかけられることに。実は、この卵はソ連の財宝で、軍縮に反対しているオルロフ将軍が横流ししているものだった。このことが発覚する前に、オルロフは本物を取り戻すことに。ボンドは、009の事件を調査すべく、サザビーの競売場に乗り込む。そこで、ボンドは偽物の卵とすり替える。さらに、卵を競り落としたカマル・カーンを追ってインドに。ボンドはカーンをバックギャモンのいかさまを暴いてカーンを挑発するが、カーンの護衛のゴビンダ等に追われる。インドの諜報部員ヴィジェイとともにボンドは三輪車タクシーで町中を逃げる。ヴィジェイの基地に着くと、そこにはQが待っていた。Qは、偽物の卵に発信器を潜ませ、ボンドに渡す。ボンドはホテルに戻ると、カーンと行動を共にしている女マグダが待ちかまえ、卵か命かと迫る。マグダは偽物の卵を持ち出し、ホテルの2階の窓から地上に降りて、カーンと共に去る。一方、ホテルに残ったボンドは、ゴビンダに倒されて捕らえられてしまう。カーンは、卵をもって、水上の宮殿に向かう。そこには、謎の女性オクトパシーが。オクトパシーはカーンにボンドを連れてくるように言う。カーンのもとに捕らえられていたボンドは、カーンとオルロフ将軍と会っているのを目撃し、Qの秘密兵器を使って脱出する。カーンによるトラ狩りの標的とされるが、ボンドは、観光客に紛れ込んで逃げ切る。その後、ボンドはオクトバシーの水上宮殿に乗り込み、オクトパシーが、かつてボンドが捕らえて自殺に追い込んだスマイス少佐の娘であることを知る。

撮影までの経緯
この時点で、ロジャー・ムーアとの間の複数契約は切れており、他のボンド役を探していた。James Brolinなどが候補に挙がったが、米国人であることから決まらず、結局、ロジャー・ムーアと個別契約が成立。ボンド役を決めるテスト(ボンド役のテストには、ロシアより愛を込めてのタチアナとボンドのベッドシーンをいつも使っているようだ。)で相手役を務めたモード・アダムスが主演女優に。モード・アダムスは主演女優としては2度目の登場。今回は、Mの秘書ミス・マネーペニーに、助手ミス・クラベルがついた。
ところで、冒頭シーンでBDジェットが登場するが、本物が飛んでいるとのこと。また、格納庫の中を飛んで通り抜けるシーンがあるが、これは、撮影スタッフのジャバーの天井を取っ払い、車に設置した棒の先にBDジェットを取り付け、120km/hのスピードで通り抜けたものらしい。車や棒は、右往左往する人や飛行機の主翼に隠されて見えないようになっている。おどろき。
なお、インドの宮殿が映画では登場するが、これはムーンレイカー撮影時に候補となって、インドでの撮影準備期間が長くかかるとの理由から、その利用を断念した経緯があったらしい。

Qの秘密兵器
ファベルジュの卵に発信器を潜ませ、それを受信するセイコー製腕時計。金属を溶かす溶液を内蔵した万年筆。万年筆には、発信器が捕らえた音声を受信するイヤフォンもついている。これらは、ボンドが利用するもの。そのほか、インドの秘密基地で実験中のものとして、棒状になるロープ(試作品)や、釘のついたドアなどくだらないのが登場するのは健在。

原作との比較
オクトパシー:原作は、オクトパシーと呼んでいる大だこを手なづけようとしている、ジャマイカで悠々自適の退役軍人で元秘密情報部員だったスマイス少佐のもとに、ボンドが現れる。ボンドは、チロルで現地人の案内人が銃殺された死体が発見されたこと、その銃弾がスマイス少佐の銃によるものであること、ジャマイカの貴金属のブローカーに会ってきたことを告げる。実は、スマイス少佐は、ドイツ軍の隠し金塊を盗み出し、その道案内をさせた案内人を射殺していた。このことが情報部に発覚し、ボンドが調査に来ていた。映画では、スマイス少佐は金塊を盗んで案内人を射殺して逃げていたがスリランカでボンドに捕まっていたという会話が出てくるだけ。
所有者はある女性(The Property of a Lady):原作は、ユニバーサル貿易商会(MI6の隠れ蓑)で勤務するある女性が、二重スパイで、ソ連にMI6の情報を流していた。しかし、このことは、MI6側は分かっていて、偽の情報を流させていた。この女性は、ある日、遺産相続でファベルジュの宝石の卵を受け取る。そしてサザビーの競売に匿名で出展することに。ボンドは、この宝石の卵が、偽の情報をつかまされていると知らないソ連側が、その女性に対する報償として送ったもので、競売での売り上げがその女性の報奨金となるのではないかと睨み、そして、額を最後まで引き上げている者が、ソ連のスパイではないかと推理し、サザビーに乗り込む。映画は、ファベルジュの宝石卵が中心に話が展開しており、また、サザビーでの競売の場で、カマル・カーンを見つけ出すことに。
その他は、脚本作りに参加した、ジョージ・フレイザーの創作。

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A View To A Kill  美しき獲物立ち   (1985)
製作: アルバート・R・ブロッコリ、マイケル・G・ウィルソン
監督: ジョン・グレン
脚本: リチャード・メイボーム、マイケル・G・ウィルソン
原作: イアン・フレミング
出演:
James Bond : Roger Moore
Max Zorin : Christopher Walken
Stacey Sutton : Tanya Roberts
May Day : Grace Jones
Tibbett : Patrick Macnee
Scarpine : Patrick Bauchau
Chuck Lee : David Yip
Pola Ivanova : Fiona Fullerton
Bob Conley : Manning Redwood
Jenny Flex : Alison Doody
Dr. Carl Mortner :Willoughby Gray
Q : Desmond Llewelyn
M : Robert Brown
Moneypenny : Lois Maxwell
General Gogol : Walter Gotell
Minister of Defence : Geoffrey Keen

あらすじ
ボンドは、シベリアの003の死体からマイクロチップを発見する。ソ連兵に追われるが、スノーモービルのソリ部分をスノーボードのように操って、危機を脱出する。秘密情報部に戻って、そのチップを調査すると、それは核爆発の際に発生する磁気に影響を受けない特殊なものであることが判明。英国の情報がソ連に流れていることを示すもの。調査線上に、マックス・ゾリンが上がる。ゾリンは、競馬馬の飼育も行っているのだが、パリに飛んだボンドが、ゾリンの事業を掴んでいる私立探偵から聞き出しているさなかに暗殺される。ボンドは暗殺者を追跡してエッフェル塔の上に追いつめるが、犯人はパラシュートで飛び降りてしまう。パリの街中をボンドは追跡するが、逃げ切られてしまう。その後、ボンドは競馬馬のオークションを行うゾリンの城に潜入する。そこで、ステイシー・サットンとゾリンが秘密の取引をしていることを発見する。さらに、ボンドは厩の地下に、マイクロチップ工場を発見する。しかし、ボンドの正体を、ゾリンの愛人メイ・デイに感づかれてしまい、ボンドは捕らえられ、車とともに湖に沈められてしまう。

原作との関係
タイトル以外全く関係なし。原作は、英国軍の通信部隊員が運んでいたNATOの秘密書類が強奪され、その犯人を捕らえるために、ボンドがパリの郊外で調査をするというもの。

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The Living Daylights   リビング・デイライツ   (1987)
製作: アルバート・R・ブロッコリ、マイケル・G・ウィルソン
監督: ジョン・グレン
脚本: リチャード・メイボーム、マイケル・G・ウィルソン
原作: イアン・フレミング
出演: ジェームズ・ボンド・・・ティモシー・ダルトン
     カーラ・ミロヴィ・・・・・マリアム・ダボ
     ブラッド・ウィティカー・・ジョーン・ドンベイカー
     コスコフ・・・・・・・・・・・・・Jeroen Krabbe
     プーシキン・・・・・・・・・・John Rhys-Davies
     ネクロス・・・・・・・・・・・・・Andreas Wisniewski
     M・・・・・・・・・・・・・・・・・ロバート・ブラウン
     Q・・・・・・・・・・・・・・・・・デズモンド・リューウェリン
     マネーペニー・・・・・・・キャロライン・ブリス

あらすじ
KGBのコスコフ将軍が西側への亡命を希望。護衛をボンドに。このためチェコのブラティスラバへと飛んだ。オーケストラの公演会場から、コスコフは抜け出して、ボンドらの待つ、向かいのビルに走る。そこに、狙撃者が現れる。しかし、それは、、、。その後、チェコからオーストリアへの国境を越えるのに、ボンドは、コスコフを天然ガスパイプラインの中を通して越えさせ、さらに、ハリアで英国に移送。防衛大臣やMらが集まり事情聴取を行ったところ、コスコフはソ連側に英米のスパイ皆殺し計画があるとの情報を漏らす。その直後、ネクロスが牛乳屋に扮して建物に潜入し、コスコフは連れ去られてしまう。ボンドの上司であるMは、その計画のリーダーであるプーシキンの暗殺を命ずるが、亡命そのものに疑いを持ったボンドは調査を進める。ボンドはプーシキンそして、チェロ奏者のカーラに接近し、そのからくりに確信をもつ。ボンドは、KGBに追われることとなるカーラとともにチェコをチェロのケースをソリ代わりにして脱出し、武器商人のウィティカーのいるタンジールへと飛ぶ。

撮影までの経緯
ロジャー・ムーアが役を降りることとなってから、ボンド役が決まらないまま撮影準備が開始される。脚本はこれまでのコミカルなラインから、だれでも対応できるような内容に。原作に回帰し、イアン・フレミング原作の「ベルリン脱出(Living Daylights」をもとに冒頭部分を作成していた。ボンド役として、当初、サム・ネイルを撮影陣が提案。しかし、製作側で却下。女王陛下の007で候補となったが、若すぎるとして辞退したティモシー・ダルトンに話しが持ちかけられる。アルバート・ブロッコリーは乗り気だが、ダルトンは別の映画の撮影に入っていて参加できず。このため、ピアース・ブロスナンを選定。しかし、ブロスナンが主演していたTVドラマの撮影本数が増えて、この話も流れる。撮影スケジュールが遅れたことから、再度、ダルトンに交渉を開始し、米国で別の映画の撮影が終わった2日後には、本作の撮影に入るというタイトなスケジュールでボンド役が定まった。
なお、映画では「第三の男」と同じ遊園地・観覧車が登場するが、実は監督のジョン・グレンは、第三の男の撮影に参加していたとのこと。

Qが発明した秘密兵器
レーザー銃、ロケット弾、スキー板、ジェット噴射などが装備されたアストン・マーティン、口笛を吹くと曲に合わせてガス噴射や爆破する自動車キー、ロケット弾が飛び出るラジカセ(このシーンの爆破スイッチを押したのはチャールズ皇太子)、人を飲み込んでしまうチェア。

原作との比較
原作は、ベルリンの東西を遮る地帯を、西側のスパイが脱出するときに、援護するため、KGBスナイパーを射殺する命令を受けたボンドの物語。スナイパーを射撃するために、ロンドンの射撃場での練習、ベルリンでのスナイパーを見つけ出すまでのボンドの準備・葛藤(ボンドは仕事とはいえ人殺しは嫌い。)などの物語。短編。基本的に、場所、逃げ出す者などの設定が異なるが、原作をうまく取り込んで、メインタイトル後の映画の冒頭部分を構成している。狙撃の目的などは、映画と原作では異なる。また、その後の映画のストーリーの展開はもちろん、まったくのオリジナル。
”Scare the living daylights”は、度肝を抜くとかひどく驚かせるという意味。原作、映画どちらも、ボンドはスナイパーの度肝を抜いたはずだというせりふを言っており、これがタイトルに。

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Licence To Kill  消されたライセンス   (1989)
製作: アルバート・R・ブロッコリ、マイケル・G・ウィルソン
監督: ジョン・グレン
脚本: リチャード・メイボーム、マイケル・G・ウィルソン
出演:
James Bond : Timothy Dalton
Pam Bouvier : Carey Lowell
Franz Sanchez : Robert Davi
Lupe Lamora : Talisa Soto
Milton Krest : Anthony Zerbe
Sharkey : Frank McRae
Killifer : Everett McGill
Prof. Joe Butcher : Wayne Newton
Dario : Benicio Del Toro
Truman-Lodge : Anthony Starke
President Hector Lopez : Pedro Armendariz
Q : Desmond Llewelyn
Felix Leiter : David Hedison
Della Churchill : Priscilla Barnes
M : Robert Brown
Moneypenny : Caroline Bliss

あらすじ
ジェームズ・ボンドは、CIAの友人フィリックスの結婚式に向かう途中、麻薬取締まりに合流することとなり、ヘリに乗って、中南米の麻薬組織のボス、サンチェスを、軽飛行機を釣るような形で捕らえる。そして、パラシュートで結婚式会場にフェリックスと共に落下。結婚式は無事進行することとなったが、その間に、護送車からサンチェスは脱走してしまう。サンチェスは、フェリックスと新妻を殺害し、フェリックスにも瀕死の重傷を負わせ、国外に逃亡する。ボンドは、復讐のため、サンチェスの仲間であり、麻薬密輸をしているミルトン・クレストの倉庫を襲撃する。Mはボンドに中東での任務命令を出すが、ボンドは無視する。このため、殺しのライセンスを剥奪される。ボンドはフェリックスの情報をもとに、潜入捜査中のブーヴィエに接触し、共に、サンチェスの本拠地イスマス・シティへ乗り込む。終盤のタンクローリーのカーチェイスなどかなりスリルあり。

Qの活躍
本作ではQがボンドを乗せるロールスロイスの運転手、サンチェス追跡時の連絡役など活躍する。ライセンスは剥奪された勝手な行動をとるボンドを助けている。Qの装備品として登場するものは、爆弾内蔵の目覚まし時計、歯磨き粉チューブに入ったプラスティック爆弾、カメラなどの外見をした部品からくみ上げられる狙撃用の銃(ボンドの掌のバイオメトリクス情報をメモリーしていて、ボンド以外は打つことができないようになっている。)、レーザー光線を発射するポラロイド型レントゲンカメラなど、旅行者用セット。

原作との関係
Licence To Killという題のイアン・フレミングの原作はない。
死ぬのは奴らだ
フェリックス・ライターが、敵に捕らえられて瀕死の重傷(鮫に噛まれて足を失う)を負わされるというところが引用されている。また、ボンドが、珍種魚の入った水槽のある魚の生餌倉庫に乗り込んで、密輸品を発見するとともに、敵と撃ち合いをするシーンも引用されている。
The Hildebrand Rarity (珍魚ヒルデブランド)
このフレミング原作短編に、クルーザーを有して、珍魚を探しに行こうとするミルトン・クレストという傲慢な男が登場する。映画でも、表向き珍魚を扱う業者(実は米国での麻薬密輸者)でクルーザーを有するミルトン・クレストが登場する。また、映画で、サンチェスがルぺをエイの鞭で打っても、ルペはサンチェスのもとを離れられないという設定だが、これは、同原作では、ミルトン・クレストとその妻の関係に同じ。

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Goldeneye  ゴールデンアイ   (1995)
製作: マイケル・G・ウィルソン、バーバラ・ブロッコリ
監督; マーティン・キャンベル
脚本: ジェフリー・ケイン、ブルース・フィアスティン
出演:
James Bond : Pierce Brosnan
Alec Trevelyan : Sean Bean
Natalya Simonova : Izabella Scorupco
Xenia Onatopp : Famke Janssen
Jack Wade : Joe Don Baker
M : Judi Dench
Valentin Zukovsky : Robbie Coltrane
Dimitri Mishkin : Tcheky Karyo
Colonel Ourumov : Gottfried John
Boris Crishenko : Alan Cumming
Q : Desmond Llewelyn
Moneypenny : Samantha Bond
Bill Tanner : Michael Kitchen

あらすじ
ボンドがダムからバンジージャンプの様な形で飛び降り、ダムの下にあるソ連の化学兵器工場に乗り込む。そこで、006アレックと合流して、化学兵器工場に時限爆弾を仕掛ける。しかし、ウルモフ大佐らに捕まり、アレックは射殺され、ボンドは崖から飛び降り、落下中の軽飛行機に乗り込み、かろうじて脱出する。9年後、ボンドはDB5を運転中、フェラーリを運転する女と競争を始める。その晩、ホテルでフェラーリの女を発見し、その女が国際犯罪組織ヤヌスの一員であることを突き止める。欧州が誇る電磁場の影響を受けないこれからの電子戦用タイガーヘリコプターの発表の日、オナトップ等に奪われてしまう。タイガーヘリは、ロシア中央の宇宙兵器監視センターに着陸する。そして、オナトップとウルモフ将軍は、同センターの天才ハッカーであるボリスの手引きで、センターにあるゴールデンアイのキーを強奪する。ゴールデンアイは、すべての電子機器を不能にしてしまう電磁波を宇宙から送り込む装置であった。ゴールデンアイによって、宇宙兵器監視センターが破壊され、証拠が隠滅されるはずであったが、センターの2級プログラマ・ナターリアが証人として生き残った。ボンドは、この事件を調査し、ヤヌスを追いつめるため、サンクトペテルスブルグに飛ぶ。本作は、5代目ボンドのピアス・ブロスナン第一作。ボンドカーはBMWに代わり、Mも前任者とはちがって女性となった。サンクトペテルスブルグでのボンドが運転する戦車と、ナターリアを連れて逃げるウルモフ将軍の車とのチェイスがはちゃめちゃで印象的。

Qの装備
レーダー、自爆装置、ヘッドライトの中に仕込まれたスティンガーミサイルなどを装備するBMWのボンドカー。ただし、これらの装備は映画では使われていない。その他、ベルトのバックルに仕込まれた25メートルのワイヤー、ペン型爆弾、X線装置つきのトレイなど。

原作との関係
イアン・フレミングの原作はない。Goldeneyeは、イアン・フレミングのジャマイカにある別荘の名前。

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Tomorrow Never Dies  トゥモロー・ネバー・ダイ  (1997)
製作: マイケル・G・ウィルソン、バーバラ・ブロッコリ
監督: ロジャー・スポティスウッド
脚本: ブルース・フィアスティン
出演: ジェームズ・ボンド・・・ピアース・ブロスナン
     エリオット・カーヴァー・・ジョナサン・プライス
     ウェイ・リン・・・・・・・・ミシェル・ヨー
     パリス・カーヴァー・・テリー・ハッチャー
あらすじ
GPSが操作され、誤って中国海域に侵入した英国艦艇が撃沈され、その乗員が中国軍により全員射殺というトップニュースが。カーヴァー・メディアによるこのトップニュースは、中国と英国との間に緊張を引き起こす。英国政府は中国に対する報復を計画するが、Mは調査をその前に主張。結局48時間以内に調査することとなり、ボンドは、いち早く事件を捉えたハンブルグのメディアの帝王とよばれるカーヴァーの身辺捜査に着手。パーティの場で、かつてのボンドの恋人パリスと出会う。ボンドはパリスから情報を引き出すべく接近。そして、その情報を基に、カーヴァーのオフィス・ビルに潜入し、GPSデコーダを発見する。その場で、中国人記者ウェイ・リンと出会うが、ウェイは中国公安部のスパイで、同じく事実関係を調査に来ていた。カーヴァーの企みを暴くべく、ボンドとウェイが協力することに。本作では、高度1万メートルから海面すれすれまでパラシュートを開かずに落下するアクションや、ベトナムの街中の雑踏をウェイとボンドが手錠につながれたままバイクで飛び回る(文字通り飛び回る)アクションなどが見物。

原作との関係
イアン・フレミングの原作はない。

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The World Is Not Enough  ワールド・イズ・ノット・イナフ  (1999)
製作: マイケル・G・ウィルソン、バーバラ・ブロッコリ
監督: マイケル・アプテッド
原案: ニール・パーヴィス、ロバート・ウェイド
音楽: デヴィッド・アーノルド
出演: ジェームズ・ボンド・・・ピアース・ブロスナン
     エレクトラ・キング・・・ソフィー・マルソー
     レナード・・・・・・・・・・ロバート・カーライル
     クリスマス・ジョーンズ・・デニース・リチャーズ
     ファレンティン・ズコフスキー・・ロビー・コルトレーン
     M・・・・・・・・・・・・・・・ジュディ・デンチ
     Q・・・・・・・・・・・・・・・デズモンド・リューウェリン
     R・・・・・・・・・・・・・・・ジョン・クリース

あらすじ
ボンドは、テロリストから石油王キング卿の5百万ドル取り戻す。しかし、その紙幣には爆薬が仕掛けられており、英国諜報本部内でキング卿は暗殺されてしまう。ボンドは、犯人の女を追って、ボートチェイス。ボートが回転ジャンプしたりと、いきなりアクション全開。次に、ボンドは、Mからキング卿の娘エレクトラを護衛の命を受け、カスピ海へ飛ぶ。父の後を継ぎ、エレクトラは、石油パイプライン建設を進めていた。エレクトラのボティーガードが怪しいと睨んだボンドは、ボディーガードが乗るべきはずであったロシアの軍用機に乗り込み、カザフスタンの核兵器基地に向かう。そこに待ち受けていたのは、テロリストの首領レナードであった。本作では、Qの後継者”R”が間抜けぶりを披露している。

原作との関係
イアン・フレミングの原作はない。タイトル「the world is not enough」は、「女王陛下の007」で述べられているように、ボンド家の家憲の英語訳。

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Die Another Day  ダイ・アナザー・デイ   (2002)
製作: マイケル・G・ウィルソン、バーバラ・ブロッコリ
監督: リー・タマホリ
脚本: ニール・パーヴィス、ロバート・ウェイド
原作: レイモンド・ベンソン
音楽: デヴィッド・アーノルド
出演:
James Bond : Pierce Brosnan
Jinx : Halle Berry
Gustav Graves : Toby Stephens
Miranda Frost : Rosamund Pike
Zao : Rick Yune
M : Judi Dench
Q : John Cleese
Falco : Michael Madsen
Colonel Moon : Will Yun Lee
General Moon : Kenneth Tsang
Raoul : Emilio Echevarria
Vlad : Michael Gorevoy
Mr. Kil : Lawrence Makoare
Moneypenny : Samantha Bond

あらすじ
ボンドは、北朝鮮の危険人物ムーン大佐を暗殺するために朝鮮半島の軍事境界線を越えた北側に潜入し、死闘の末、大佐を滝壺に突き落とした。しかし、任務遂行目前にして北側に捕まり、壮絶な監禁、拷問に耐える日々が続く。14か月後、ボンドは南側で捕虜となっていたムーン大佐の腹心ザオとの交換により、ようやく自由の身となる。しかし、上司Mはボンドが拷問にくじけ、情報を漏らしたと疑い、諜報部員の資格を剥奪したうえ施設内に幽閉してしまう。ボンドは自らのアイデンティティを証明するためにも、厳しい警備をすり抜け、鍵を握る男ザオを追ってキューバへと向かう。そこには同じくザオを追う謎の美女ジンクスがいた(←DVDの説明から抜粋。)。キューバでは、DNAの入れ替えによって外見上全くの別人に変わるという手術が闇で行われていた。そこに、ボンドが乗り込むと、すでに、ジンクスが、この危険な手術を実施している医師を排除。一方、ボンドが、病院で発見したのは、DNA変換手術を受ける途中のザオ。ザオの持っていたペンダントを奪い、ザオを取り逃がす者の、病院を破壊する。ボンドは、ペンダントの中から発見したダイヤモンドが、アイスランドのグレーブス社のものであることを発見し、グレーブスのいる英国にもどる。グレーブスの所属するフェンシングのクラブで、ミランダとグレーブス出会い、ボンドはグレーブスと剣の試合を始める。グレーブスに勝ったボンドは、グレーブスから、アイスランドで行うイベントに招待される。イベント会場でマスコミを前にグレーブスによって披露されたのは、イカルスという太陽エネルギーをレーザー光として地球に送り込む衛星であった。


今回のQの発明は、アストン・マーティンDB7を改造したボンドカー。カモフラージュ機能によって姿が見えなくなる。そのほか、防弾ガラスも破壊する指輪など。なお、Qは前作撮影後交通事故で死亡したデズモンド・リューウェリンに変わり、前作でQの助手だったR役を演じたジョン・クリース。したがって、Qはやはり、Qブランチの長の仮名ということか。

原作との関係
イアン・フレミングの原作はない。冒頭のボンドが1年以上敵国にいて、戻ってきたときに裏切りの罪を着せられるというのは、イアン・フレミング原作「黄金銃を持つ男」の冒頭のストーリーに近い。

ジンクスの登場シーン
女性版ボンド。NSAに所属ということだが、NSAはこんな活動をしてたかしら?登場シーンは、Dr.NOのウルスラ・アンドレスのオマージュ。なお、ウルスラ・アンドレスは、イアン・フレミング原作「女王陛下の007」で名前が登場している。もう、この作品が書かれたのはDr.NO公開後ですからね。

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Casino Royale  カジノ・ロワイヤル   (2006)
製作: バーバラ・ブロッコリ、マイケル・G・ウィルソン
監督: マーティン・キャンベル
脚本: ニール・パーヴィス
原作: イアン・フレミング
音楽: デヴィッド・アーノルド
出演: 
James Bond : Daniel Graig
Vesper Lynd : Eva Green
Le Chiffre : Mads Mikkelsen
M : Judi Dench
Felix Leiter : Jeffrey Wright
Mathis : Giancarlo Giannini
Solange : Caterina Murino
Alex Dimitrios : Simon Abkarian
Mr. White : Jesper Christensen
Mollaka : Sebastien Foucan
Mendel : Ludger Pistor

あらすじ
機密情報を流していた秘密諜報部のプラハ支局長を処刑したところで、ボンドが銃口に向かって銃を撃つお決まりのスタート。今回のボンドはタキシードではなく、ラフな格好で銃を撃つ−メインタイトルーこの仕事により、ダブルオーの地位に昇格する。007として最初の仕事は、ウガンダのテロリストの資金運用に関係すると見られるMollaka(フリーランニングで有名なアスリートのセバスチャン・フォーカンが演じる。軽快な動きはみごと。)を捕まえ、背後関係の情報をはかせること。マダガスカルでMollakaを追跡し、大使館に逃げ込んだところで銃撃戦の末、ボンドはMollakaを射殺。そこで携帯電話(ソニー・エリクソン製)により”エリプシス”というキーワードを得る。ボンドはMから大使館で冷静になるよう諭される。その後、Mollakaの携帯電話の発信元・時間を頼りにバハマのオーシャンクラブに飛ぶ。そこで、ディミトリオスにを突き止める。ボンドはディミトリオスの妻のソランジュから、ディミトリオスがマイアミに飛ぶとの情報を得る。ボンドはマイアミ空港まで追跡し、そこで、ディミトリオスの仲間が同空港で世界最大のジェット旅客機であるスカイフリート社S570を爆破するたくらみであることに気づく。実は、ル・シッフルがウガンダのテロリストから資金を預かり、同社の株を空売りしておき、同社の新型機を爆破させて株価を操作して資金運用するたくらみだった。ボンドが、空港滑走路で、新型機に突入しようとするタンクローリーの爆破を阻止したことで、ル・シッフルは資金運用に大きな穴を開けてしまう。ル・シッフルは、モンテネグロのカジノ・ロワイヤルでポーカーの大ゲームでの賭で大損を埋めようとする。これを阻止するため、ボンドはモンテネグロに乗り込む。資金は、国家予算1500万ドル。監視役として、財務省から飛び、ボンドは軍の情報システムから、ル・シッフルという男の情報を得る。ウガンダのテロリストは、Mr.ホワイトの仲介で最初の任務で世界のテロリストの資金運用をしているル・シッフルという男の存在を突き止める。高額賭金のポーカーで資金を稼ごうとするル・シッフルと勝負するため、モンテネグロに向かうボンドの前に、国家予算である賭金1500万ドルの監視役として財務省から美貌の女性ヴェスパー・リンドが送り込まれる。My name is Bond, James Bondの台詞がラストに来ているのが渋いですね。

撮影までの経緯
イオン・プロダクションは、イアン・フレミングによる007の最初の物語であるカジノ・ロワイヤルの映画化権を獲得するのが長年の課題だった。97年にソニーピクチャーズと映画化権を争った同プロダクションは、(67年に、チャールズ・フェルドマン等により製作されたカジノ・ロワイヤルは、タイトルだけが同じで、あとは全く原作を無視したはちゃめちゃ映画だったので、)正統なカジノ・ロワイヤルを撮影することを目標としていた。その段階では、ピアス・ブロスナンがジェームズ・ボンドを演じていた。同小説がボンドの若い頃の事件であったため、若いジェームズ・ボンド役の俳優を探す必要があった。その若い俳優として、ダニエル・クレイグが6代目ボンドとして選ばれた。なお、ソニーピクチャーズは、同プロダクションが所属するMGMを傘下に納めたので、結局、カジノ・ロワイヤルはソニーピクチャーズとして配給されている。

原作との比較
ダブル0として初の仕事か
映画では、ボンドのダブル0としての最初の仕事として描かれている。原作では、カジノ・ロワイヤル事件の前にもジャマイカで仕事をしていることとなっているので最初の仕事ではない。
ル・シッフルがカジノで大勝負にでた理由
原作は、ル・シッフルはソ連の工作員で、フランスの共産党系組織の会計責任者という設定。党の資金を使い込んでしまったル・シッフルがフランスの海水浴場の賭博場で、資金の穴埋めよしようとするのをボンドが阻止する話。これでは、2006年時点の話に合わないので、映画では、テロリストの資金運用の穴を、ル・シッフルが賭で一挙挽回しようというストーリーに変わっている。このストーリーに持ち込む流れで、Mollakaを追いつめる高層建築工事中のクレーン上でのアクション、空港でのタンクローリーを使ったアクションなどのシーンが入っている。
カジノ・ロワイヤルでの勝負の後の展開
これは、製作側の意図もあり、できるだけ原作に忠実にしようとしている。

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Ian Lancaster Fleming  イアン・フレミング : (1908〜1964) 
生まれ:ロンドン
両親:国会議員ヴァレンタイン・フレミング少佐、イヴリン・ビアトリース
学歴:イートン、サンドハーストで基礎教育。ミュンヘン大学・ジュネーブ大学留学
略歴:1929 ロイター通信記者
    1933 カール商工銀行勤務
    1935 ロウ・アンド・ピットマン証券勤務
    1939 英国海軍情報部勤務(中佐)
    1945〜59 ケンスリー・ニューズペーパー勤務
作品 「カジノロワイヤル」(1953)
    「死ぬのは奴らだ」(1954)
    「ムーンレイカー」(1955)
    「ダイヤモンドは永遠に」(1956)
    「ロシアから愛をこめて」(1957)
    「ドクター・ノオ」(1958)
    「ゴールドフィンガー」(1959)
    「バラと拳銃」(短編集) : From a View to a Kill, For Your Eyes Only, Risico, The Hildebrand Rarity, Quantum of Solace
    「サンダーボール作戦」(1961)
    「私を愛したスパイ」(1962)
    「女王陛下の007」(1963)
    「007は二度死ぬ」(1964)
    「黄金の銃をもつ男」(1965)
    「オクトパシー」(1966) : The Living Daylights, The Property of a Lady, Octopussy
以上、[改訳版]死ぬのは奴らだ(ハヤカワ文庫)解説、ダイヤモンドは永遠に(創元推理文庫)解説等を参考

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James Bondの略歴など (小説:「007は二度死ぬ」の記載の要約など)
1922年生まれ
・職業及び肩書
国防省上級職員
聖ミカエル・聖ジョージ勲爵士
予備役海軍中佐
・両親
父:アンドリュー・ボンド(スコットランド人)
母:モニク・ドラクロワ(スイス人)
両親は11歳のときにシャモニー登山事故で死亡。その後、叔母のチャーミアン・ボンドの下で育つ。
・外国語
フランス語、ドイツ語(父がヴィッカーズ兵器会社海外特派員であったことから海外で初等教育を受けた結果。)
・教育
イートン(中途退学)、フェッティス スポーツは、ボクシング・ライト級、柔道
・職歴
1941年 19歳で国防省に昇格した政府機関のある出先機関(秘密諜報部)に入る。英国海軍特務大尉
1945年 中佐に昇格 
1953年 聖マイケル聖ジョージ勲章
・結婚
1962年 マルク=アンジュ・ドラコの娘テレサと結婚(死別)
・嗜好
たばこ一日に60本以上、30度から35度のアルコールを半ビン程度。
コーヒーはブラック、紅茶は飲まない。
・特徴
右頬に三インチほどの傷跡あり。髪は黒。左分けで前髪が右眉にかかる髪型。身長183cm。体重76kg。体格は骨細。目は青。
・住居
ロンドンのキングズ・ロードから少し引っ込んだすずかけの茂った一画の快適なアパート。スコットランド系家政婦のメイとともに住んでいる。

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Mについて
本名:サー・マイルズ・メッサーヴィ
階級:海軍大将
秘書:ミス・マネイペニー
プレイズ・クラブ会員


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番外編

Casino Royale  カジノロワイヤル   (1967)
製作: チャールズ・K・フェルドマン、ジェリー・プレスラー
監督: ジョン・ヒューストン、ケン・ヒューズ、ロバート・パリッシュ、ジョセフ・マクグラス、ヴァル・ゲスト
脚本: ウォルフ・マンキーウィッツ、ジョン・ロウ、マイケル・セイヤーズ
音楽: バート・バカラック
出演  イヴリン・トレンブル・・・ピーター・セラーズ
     ヴェスパー・リンド(007)・・・ウルスラ・アンドレス
     サー・ジェームズ・ボンド・・・デイビッド・ニーブン
     ジミー・ボンド(ドクター・ノア)・・・ウディ・アレン
     ルシッフル・・・・・・・・・オーソン・ウェルズ
     マタ・ボンド・・・・・・・・ジョアンナ・プティット
     クーパー(ジェームズ・ボンド・007)・・・テレンス・クーパー
     ミミ・・・・・・・・・・・・・・・デボラ・カー
     ランサム(CIA)・・・・・・ウィリアム・ホールデン
     マクタリー(M)・・・・・・ジョン・ヒューストン
現役を引退し、悠々自適の生活を送っていた往年のスパイ、ジェームズ・ボンド卿のもとへ、英米仏ソの情報機関幹部が集まってきた。話によると、国際陰謀団スメルシュの手で各国の諜報員が次々と消されており、一同はボンドに現役復帰するよう説得にやってきたのだ。色仕掛け作戦を繰り出してきたスメルシュに対抗し、各国情報部は複数の影武者ボンドを仕立て上げ、各欄作戦を決行!組織への潜入を図るが。初代ボンドガールのウルスラ・アオンドレスも登場している。バート・バカラックの流麗な音楽はアカデミー賞歌曲賞にもノミネートされた。(DVD説明から抜粋)

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Never Say Never Again  ネバーセイ・ネバーアゲイン  (1983)
製作: ジャック・シュワルツマン
監督: アーヴィン・カーシュナー
製作総指揮: ケビン・マクローリー
脚本: ロレンツォ・センブルJr
出演: ジェームズ・ボンド・・・・・ショーン・コネリー
     ドミノ・・・・・・・・・・・・・・・キム・ベイシンガー
     エミリオ・ラルゴ・・・・・・・クラウス・マリア・ブランダウアー
     ファティマ・・・・・・・・・・・・バーバラ・カレラ
     プロフェルド・・・・・・・・・・マックス・フォン・シドー
巨大犯罪組織スペクターにより略奪されたNATOの核弾頭を奪還するべくジェームズ・ボンドが活躍する。サンダーボール作戦のリメイク版。(DVD説明から抜粋)

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さらなる番外編     イアン・フレミング原作、アルバート・R・ブロッコリ製作の映画

Chitty Chitty Bang Bang  チキチキバンバン   (1968)
製作: アルバート・R・ブロッコリ
監督・脚本 ケン・ヒューズ
原作: イアン・フレミング
作詞作曲: ロバート・B・シャーマン
音楽: リチャード・M・シャーマン、ロバート・M・シャーマン、アーウィン・コスタル
出演: ポッツ・・・・・・・・・・・ディック・バンダイク
     トルーリー・・・・・・・サリー・アン・ハウズ
     ジェレミー・・・・・・・・アドリアン・ホール
     ジェニファー・・・・・・・ヒーザー・リプレイ
     おじさん・・・・・・・・・ライオネル・ジェフリーズ
夢見る発明家のカラクタカス・ポッツは危うく解体炉に放り込まれようとしてたポンコツ自動車のチキチキバンバンを救い出し、手を加えて走らせることに成功する。ある日彼は2人の子供、ジェレミーとジェニファーを乗せて海辺へ遊びに出かけた。途中美しい女性トルーリーと出会った彼らは、一緒に楽しい時を過ごす。ところがポッツの空想癖がもとで海上に浮かんでいたタグボートがバルガリア国の暴君ボンバースト男爵が乗るヨットに変身!彼の空想の中でチキチキバンバンは男爵相手に、海上を走ったり空を飛んだりと大活躍する。007シリーズのイアン・フレミングの原作を、シャーマン兄弟(「メリーポピンズ」、「シンデレラ」)のスコアでミュージカル化、本作は、「サウンド・オブ・ミュージック」「メリーポピンズ」と並ぶミュージカル映画の最高傑作とされている。(DVD説明から抜粋)

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